バーテンダー技能検定とは?
概要・難易度・取得後の活かし方を解説
バーテンダー技能検定の概要
「バーテンダー技能検定」は、カクテル作成や接客サービスなど、バーテンダーとしての技能を認定する検定です。代表的なものとして、1929年創立の歴史を持つ一般社団法人日本バーテンダー協会(N.B.A.)が実施する「呼称技能認定試験」が知られています。
※ N.B.A.(日本バーテンダー協会)とは、バーテンダーの技術向上と業界の発展を目的とした、日本国内で最も歴史のあるバーテンダー団体の一つです。
段階的に積み上げる呼称技能認定試験
N.B.A.の認定制度は、20歳以上・実務経験1年以上で受験できる「NBA認定バーテンダー資格」から始まり、その上に23歳以上・実務経験5年以上・協会会員歴3年以上を経た人が対象となる「バーテンダー呼称技能認定試験」、さらにその上に「インターナショナル・バーテンダー呼称技能認定試験」という段階が用意されています。経験を積みながら段階的に技能を証明していく仕組みです。
学科試験と実技試験の内容
学科試験では、食品衛生や酒類・カクテルに関する知識、調酒理論などが出題され、「NBA新オフィシャル・カクテルブック」が学習の中心になります。実技試験では、フルーツカットやシェーク、ステアといった基本技術の確認に加え、カクテル作成の課題が出されます。
※ ステアとは、バースプーンでグラスの中の材料をかき混ぜてカクテルを作る技法です。シェークとは異なり、材料を激しく振らずに静かに混ぜ合わせるのが特徴です。
受験には事前の研修・講習会が前提になることが多い
この検定では、試験を受ける前に協会が実施する研修や講習会への参加が前提となることが多いとされています。実技の基本動作や所作を講習でしっかり身につけたうえで試験に臨む流れになっているため、独学だけで挑戦するのは難しい資格といえます。
難易度・学習時間の目安
研修をきちんと受講していれば、試験自体の合格率は高いとされています。一方で、上位の認定試験になるほど実務経験年数や協会会員歴といった条件が厳しくなるため、「試験の難しさ」よりも「そこまでの経験を積めるかどうか」が大きなハードルになる、独特な難易度設計の資格です。
※ フルーツカットとは、カクテルに添えるレモンやオレンジなどのフルーツを、決められた形に美しく切る技術のことです。見た目の美しさもバーテンダーの技能として評価されます。
取得後に活かせる仕事・関連する職種
バー・ホテルラウンジのバーテンダー
カクテル作成や接客サービスの技能を客観的に証明できるため、バーやホテルラウンジでの勤務時に経験と実力をアピールする材料になります。
カクテルコンペティションへの参加
協会が主催する大会やコンペティションへの参加資格として、こうした認定資格の取得が関わってくる場合もあり、技術を競う場へのステップにもなります。
独立・バー開業時のアピール材料
将来バーを開業したいと考えている方にとって、長年の実務経験と技能認定の両方を持っていることは、お客様からの信頼を得るうえでも強みになります。
誕生の背景・歴史
1929年:N.B.A.の創立
N.B.A.は1929年(昭和4年)に、飲料文化の発展とバーテンダーの技術練磨・人格形成を目的として創立されました。戦前から続く歴史を持つ、日本でも数少ない老舗のバーテンダー団体です。
1962年:アジア初のIBA加盟
1962年には、N.B.A.は国際バーテンダー協会(IBA)にアジア地域で最初に加盟しました。その後1970年には厚生省の認可を受けて社団法人化され、1987年には別団体との合併を経て現在のN.B.A.となっています。国内の検定でありながら、国際的なカクテル競技の基準とも深いつながりを持っているのが特徴です。
※ IBA(国際バーテンダー協会)とは、世界各国のバーテンダー団体が加盟する国際組織で、カクテルの公式レシピの認定なども行っています。
どんな人が、どんな目的で取得しているのか
バー業界でキャリアを積み始めたばかりの方
実務経験1年程度から挑戦できる入門レベルの認定を、自分の技能を客観的に確認するきっかけとして取得するケースが多く見られます。
長年バー業界で働いてきたベテラン
5年・7年といった実務経験を積んだベテランバーテンダーが、これまでの経験と技術を形にするために、上位の呼称技能認定試験を目指すこともあります。
将来バーを開業したい方
独立を見据えている方が、お客様への安心感や同業者からの信頼を得る目的で、段階的に資格を取得していくケースもあります。
豆知識:バーテンダー技能検定をめぐる雑学
「国家資格」と誤解されやすい
「バーテンダー技能検定」という名称から国家資格のような印象を持たれることがありますが、N.B.A.の呼称技能認定試験は協会独自の認定制度であり、厳密には民間の検定とされています。とはいえ、95年以上の歴史を持つ団体が運営していることから、業界内での信頼度は高いとされています。資格の名称だけで判断せず、運営団体やその歴史を確認してみると、資格選びの納得感が増すかもしれません。
もう一つの大きな団体「HBA」の存在
バーテンダーの認定団体としては、N.B.A.のほかに「一般社団法人日本ホテルバーメンズ協会(HBA)」も存在します。HBAでは「HBAビバレッジアドバイザー」「HBAバーテンダー」「HBAマスターバーテンダー」といった独自の段階制が設けられており、業界にはN.B.A.系とHBA系という二大系統が並立しているのも興味深い点です。
まとめ ― バーテンダーとしての歩みを「形」にする検定
こんな方にとくにおすすめ
- バーで働き始め、自分の技能を確認したい方
- 長年の経験を資格という形で証明したいベテランバーテンダー
- カクテルコンペティションへの参加を考えている方
- 将来バーを開業したいと考えている方
取得に向けた第一歩
まずは協会の公式サイトで自分の実務経験年数に応じてどの認定が受験できるかを確認し、研修・講習会への参加を検討するとよいでしょう。「NBA新オフィシャル・カクテルブック」を手元に置き、日々の業務と並行して学科の知識も整理しておくと、試験本番にも余裕を持って取り組めます。経験を積みながら段階を一つずつ上っていくことで、長期的なキャリアの道筋も見えやすくなるはずです。
