特別支援学校教諭免許状とは
特別支援学校教諭免許状について
障害のある子どもたちの教育を担う教員に必要な免許状。取得に必要な教員免許・履修科目・認定講習の仕組みから、特別支援教育の現場での役割まで幅広く解説します。
概要
特別支援学校教諭免許状は、特別支援学校(盲学校・聾学校・養護学校を統合した現在の特別支援学校)で障害のある子どもたちの教育を行うために必要な教員免許です。教育職員免許法に基づき、普通免許状として文部科学省が制度を管轄しています。対象とする障害種別(視覚障害・聴覚障害・知的障害・肢体不自由・病弱)ごとに「領域」があり、複数の領域の免許を取得することも可能です。
基礎免許状に加えて取得する仕組み
特別支援学校教諭免許状は、幼稚園・小学校・中学校・高等学校いずれかの教員免許状(基礎免許状)を有していることが前提です。基礎免許状を持つ人が、大学・大学院で特別支援教育に関する科目(16単位以上)を修得するか、現職教員として都道府県教育委員会が実施する「認定講習」を修了することで取得できます。
経験3年以上の現職教員は認定講習で取得可能
普通免許状を持ち、教育職員として3年以上の経験がある現職教員は、都道府県教育委員会が開催する認定講習を受講・修了することで特別支援学校教諭免許状を取得できます。夏季や長期休暇に集中開催されることが多く、働きながら取得するルートとして活用されています。
難易度
特別支援学校教諭免許状は試験による選抜がなく、所定の科目修得または認定講習の修了によって取得できます。難易度の実質的な分かれ目は、基礎免許状(小学校・中学校等)を取得しているかどうかです。大学在学中に基礎免許と同時に特別支援の科目を履修するルートが最もスムーズで、現職教員は認定講習を活用するのが現実的です。
複数領域の免許取得も可能
特別支援学校教諭免許状は視覚障害・聴覚障害・知的障害・肢体不自由・病弱の5領域に分かれています。1つの領域で免許を取得した後、追加の単位修得により他の領域を追加することができます。現在の特別支援学校では複数の障害種に対応することが多く、複数領域の免許を持つ教員は学校現場で重宝されます。
難易度の目安
★★☆☆☆
試験による選抜はなく、科目修得または認定講習修了で取得できます。基礎免許状(小・中・高等の教員免許)が前提条件であり、そちらの取得が難易度の大部分を占めます。
合格率の目安
大学での特別支援教育課程が取得の主なルート
教員養成大学・教育学部では、基礎免許の科目と並行して特別支援教育の科目を履修できる課程を設けているところが多くあります。在学中に両方を取得しておくことで、卒業後の就職先の選択肢が広がります。通信制大学でも履修できる大学があります。
取得後の仕事
特別支援学校教諭免許状を取得した教員は、特別支援学校(幼稚部・小学部・中学部・高等部)に勤務するほか、小中学校の特別支援学級担任・通級指導担当としても活躍します。個々の障害特性に応じた個別の教育支援計画・個別の指導計画の作成、療育的なアプローチを組み込んだ授業設計など、専門性の高い仕事が求められます。
特別支援教育の対象は年々拡大している
特別支援教育の対象は、従来の障害種だけでなく発達障害(ADHD・学習障害・自閉スペクトラム症など)を含む児童生徒も含まれるようになりました。通常学級にも特別な教育的支援を必要とする子どもが増えており、特別支援教育の知識を持つ教員の需要は全国的に高まっています。
特別支援学校教諭は専任配置が義務付けられている
特別支援学校では、教育職員免許法により原則として特別支援学校教諭免許状を持つ者を配置することが義務付けられています(一部経過措置あり)。小中学校の特別支援学級でも免許保持者の配置が奨励されており、教員採用試験においても特別支援学校教諭免許状の保有は有利に働く場面が多くあります。特別支援学校は全国に約1,200校以上あり、安定した就職先となっています。
誕生の背景・歴史
特別支援学校教諭免許状の前身は、盲学校・聾学校・養護学校それぞれの教諭免許状として個別に存在していました。2007年の学校教育法改正により、それまでの盲・聾・養護学校が「特別支援学校」に一本化され、免許制度も統合されました。この改正により、障害種を横断した特別支援教育への対応が求められるようになりました。
インクルーシブ教育への移行と専門性の重要性
国連の障害者権利条約(2006年採択、日本は2014年批准)に基づき、インクルーシブ教育システムの構築が推進されています。障害のある子どもが地域の学校でともに学ぶ環境を整えるにあたって、特別支援教育の専門的知識を持つ教員の役割はますます重要になっています。特別支援学校教諭免許状の取得者が学校全体を支えるリソースとなることが期待されています。
どんな人が向いているか
特別支援学校教諭は、一人ひとりの子どもに寄り添い、その子の可能性を信じて粘り強く関われる人に向いています。障害のある子どもたちの成長を日々の小さな変化の中に見つけ、喜びを感じられる感性が大切です。また保護者・福祉機関・医療機関など多職種と連携する場面が多いため、コミュニケーション能力と協調性も重要なスキルです。
福祉・医療の知識があると強みになる
特別支援教育では、言語聴覚士・理学療法士・作業療法士・医師などの専門職と連携することがあります。福祉や医療の基礎知識を持つ教員は、個別の支援計画を立てる際に連携しやすく、現場で重宝されます。社会福祉士などの資格と組み合わせて活用する教員もいます。
発達障害への理解が通常学級でも活きる
特別支援教育で培った発達障害への理解・対応スキルは、通常学級での指導にも直結します。支援が必要な子どもへの合理的配慮の提供や、学級全体のユニバーサルデザインを意識した授業づくりは、すべての子どもにとっての学びやすい環境を実現します。特別支援学校教諭免許状を持つ教員は、学校全体のインクルーシブ教育推進をリードできる存在です。
豆知識
特別支援学校の教員は、一般の学校教員に比べて少人数指導が多く、1クラスあたりの児童生徒数は原則6名以下(小・中学部)と定められています。きめ細かな個別指導が可能な反面、1人の教員が多様な指導計画を担う責任も大きくなります。給与面では、特別支援学校に勤務する教員には「特殊勤務手当」が支給されることも多いです。
自立活動が特別支援教育の独自科目
特別支援学校の教育課程には、通常の学校にはない「自立活動」という独自の領域があります。健康の保持・心理的な安定・人間関係の形成・環境の把握・身体の動き・コミュニケーションの6つの区分に基づき、個々の障害特性に応じた目標と指導内容を設定します。自立活動の指導計画を立案・実施できる力は、特別支援学校教諭の核心的な専門スキルです。
まとめ
特別支援学校教諭免許状は、基礎免許状を持つ人が所定の科目を修得または認定講習を修了することで取得できる教員免許です。試験による選抜はなく、障害のある子どもたちと丁寧に関わりたい教員にとって、取得してこその専門性が発揮できる資格です。
教員を目指すなら在学中の取得がおすすめ
教育学部・教員養成大学に在学中であれば、基礎免許と同時に特別支援教育の単位を履修しておくと卒業後の選択肢が大きく広がります。現職教員の方は都道府県の認定講習を活用した取得が現実的です。インクルーシブ教育が進む時代に、特別支援の専門性はすべての教員にとっての財産になります。

