応急手当普及員/救命講習修了について

実技試験あり誰でも受験可
民間資格

応急手当普及員/救命講習修了とは?

概要・難易度・取得後の活かし方を解説

応急手当普及員/救命講習修了の概要

「応急手当普及員」「救命講習修了」は、各地の消防本部が実施する講習を修了することで取得できる、心肺蘇生法やAEDの使用法など、命を救うための応急手当の知識・技能を身につけたことを示す資格です。国家資格ではありませんが、全国どこの消防本部でも共通の内容で講習が行われており、社会的に広く認知されています。

AED(自動体外式除細動器)とは、心臓が正常なリズムを失った状態(心室細動)になったときに、電気ショックを与えて正常なリズムに戻すための医療機器です。駅や商業施設など多くの公共の場所に設置されています。

救命講習の種類(普通救命講習・上級救命講習)

救命講習には、半日程度で受講できる「普通救命講習I・II」、終日かけて学ぶ「上級救命講習」、さらに短時間の「救命入門コース」などの種類があります。普通救命講習Iでは心肺蘇生法とAEDの使用法を、普通救命講習IIではこれに加えて止血法などを学びます。上級救命講習では、けが人の搬送方法や、子どもへの対応など、より幅広い知識・技能を習得します。

心肺蘇生法とは、呼吸や心臓が止まってしまった人に対して、胸骨圧迫(心臓マッサージ)や人工呼吸を行い、血液の循環を保つための応急手当の技術です。

応急手当普及員とは(講師になるための資格)

応急手当普及員は、普通救命講習を修了したうえで、消防機関が実施する24時間の「応急手当普及員講習」を受講し、筆記試験と指導実技の効果測定に合格することで認定される資格です。応急手当普及員になると、職場や地域で自ら普通救命講習の講師を務めることができるようになります。認定証の有効期限は3年間で、再講習を受けることで更新できます。

受講資格・対象者

普通救命講習・上級救命講習は、年齢や職業を問わず誰でも受講することができます。応急手当普及員講習は、普通救命講習の修了が前提条件となるほか、職場で防災・安全管理を担当する立場にある人など、講師としての活動が見込まれる人を対象に案内されることが一般的です。

難易度・学習時間の目安

★☆☆☆☆ 普通救命講習は半日で受講可能。応急手当普及員は24時間の講習が必要

普通救命講習は3時間程度、上級救命講習は8時間程度で修了でき、講習に参加して実技を一通り行えば修了証が交付されます。一方、応急手当普及員講習は3日間・合計24時間という長丁場で、座学に加えて指導実技の効果測定もあるため、学習というより「講師としての実践練習」に近い内容になります。

修了率の目安:救命講習・応急手当普及員講習はいずれも、知識を競う試験ではなく、講習にきちんと参加し実技を行うことが中心のため、最後まで参加すればほとんどの人が修了証・認定証を受け取ることができます。

取得後に活かせる仕事・関連する職種

保育・教育施設の職員

保育園や幼稚園、学校では、子どもの体調急変やけがに対応する場面が起こり得ます。普通救命講習の知識は、こうした現場でとっさの対応をするための備えになります。

警備員・施設管理スタッフ

商業施設やイベント会場で働く警備員・施設管理スタッフにとって、来場者の急病やけがへの初期対応は重要な業務のひとつです。応急手当普及員の資格があれば、新人スタッフへの講習を社内で実施できるようになります。

企業の安全衛生担当者

企業の総務・安全衛生担当者が応急手当普及員の資格を取得し、社内で定期的に救命講習を実施することで、外部講師に依頼するコストをかけずに、従業員全体の応急手当スキルを底上げすることができます。

誕生の背景・歴史

「バイスタンダー」の存在が救命率を左右する

心臓が止まってから救急車が到着するまでの間に、その場に居合わせた人が心肺蘇生やAEDの使用といった応急手当を行うかどうかで、その後の救命率や社会復帰率が大きく変わることが知られています。こうした、救急隊が到着する前に応急手当を行う一般市民を「バイスタンダー」と呼び、その役割の重要性が広く知られるようになったことが、救命講習が全国的に普及した背景にあります。

バイスタンダーとは、急病人やけが人が発生した現場に居合わせた人のことです。救急隊が到着するまでの間に応急手当を行うことで、救命率を高める重要な役割を担います。

応急手当普及員制度の整備

消防庁は、より多くの市民に応急手当の知識を広めるため、消防職員だけでなく、一般の人の中から講師役を育成する「応急手当普及員」「応急手当指導員」の制度を整備しました。これにより、企業や地域団体が自前で講師を確保し、定期的に救命講習を開催できる体制が全国に広がっています。

どんな人が、どんな目的で取得しているのか

子育て中の保護者・保育関係者

子どもの急な体調変化やのどに物を詰まらせた場合の対応など、いざというときに落ち着いて行動できるようになりたいという保護者や保育関係者が、普通救命講習を受講するケースが多く見られます。

警備・施設管理の仕事をしている人

業務上、応急手当の知識が求められる警備員や施設管理スタッフが、職場の指示やキャリアアップを目的に、上級救命講習や応急手当普及員講習にステップアップしていくケースもあります。

地域の防災活動に参加したい人

自治会やPTAなどの地域活動に携わる人が、防災訓練の一環として救命講習を受講し、地域での「もしも」に備えたいと考えて取得するケースも見られます。防災士などの資格と組み合わせて学ぶ人も少なくありません。

豆知識:救命講習を「受けっぱなし」にしないために

救命講習には「再講習」がある

普通救命講習・上級救命講習そのものに有効期限はありませんが、心肺蘇生やAEDの手順は一度習っただけでは時間とともに忘れてしまいやすいものです。そのため、多くの消防本部では、定期的に救命講習を再受講することが推奨されています。応急手当普及員・指導員については、3年ごとの再講習が認定の更新条件として定められています。

再講習とは、一度取得した講習内容を忘れないよう、定期的に知識・技能を確認し直すための講習のことです。応急手当普及員・指導員は3年ごとの再講習で認定が更新されます。

「救命入門コース」という90分の選択肢

「3時間も時間が取れない」という人向けに、多くの消防本部では90分程度で受講できる「救命入門コース」も用意されています。心肺蘇生とAEDの使い方の基本だけをコンパクトに学べるため、まずはここから救命講習デビューする人も増えています。

まとめ ― 「いざというとき」に動ける人になるために

こんな方にとくにおすすめ

  • 子育て中で、子どものもしもに備えたい方
  • 警備・施設管理など、来場者対応が業務に含まれる方
  • 地域の防災活動・社内研修の講師役を担いたい方

取得に向けた第一歩

まずは、お住まいの地域の消防本部のウェブサイトで、普通救命講習の開催日程を調べてみましょう。半日の参加で修了証が交付されるため、防災への第一歩として取り組みやすい資格です。