BCP(事業継続計画)策定支援者/事業継続マネージャーについて

筆記試験誰でも受験可
民間資格

BCP(事業継続計画)策定支援者/事業継続マネージャーとは?

概要・難易度・取得後の活かし方を解説

BCP(事業継続計画)策定支援者/事業継続マネージャーの概要

「BCP策定支援者」「事業継続マネージャー」と呼ばれる資格の中で、代表的なものが、特定非営利活動法人事業継続推進機構(BCAO)が認定する「事業継続管理者」をはじめとする一連の資格です。災害や事故、感染症の流行といった非常事態が発生した際にも、企業が重要な事業を継続・早期復旧できるようにするための計画(BCP)の策定や運用を支援する専門知識を認定します。

BCP(Business Continuity Plan)とは、災害・事故・感染症の流行などの緊急事態が発生した際に、企業が重要な業務を中断させない、または中断しても短期間で復旧させるためにあらかじめ定めておく計画のことです。「事業継続計画」とも呼ばれます。

4段階のグレード構成(事業継続管理者〜上級管理士)

BCAOの認定資格は、Grade I「事業継続管理者」、Grade II「事業継続准主任管理士」、Grade III「事業継続主任管理士」、Grade IV「事業継続上級管理士」の4段階で構成されています。Grade Iは誰でも受験できる入門資格で、Grade IIから上は、Grade I取得者であることに加えてBCAOの正会員等であることが条件となる、段階的にステップアップしていくタイプの資格です。

試験内容と認定団体

Grade I「事業継続管理者」は、5時間の講習と1時間の試験で構成されています。Grade II「事業継続准主任管理士」は2日間の講習と試験、Grade III「事業継続主任管理士」は3〜5日間の講習と試験(実務経験により短縮あり)、Grade IV「事業継続上級管理士」は書類審査・小論文・面接・模擬講義によって審査される、上位級になるほど実践力が問われる構成になっています。

BCAO(事業継続推進機構)とは、2006年に設立された特定非営利活動法人で、企業のBCP・BCM(事業継続マネジメント)の普及啓発や人材育成のための資格認定などを行っている団体です。

事業継続管理者(Grade I)は、BCPに関する基本的な知識を学ぶ入門資格で、5時間の講習を受けたうえで1時間の試験を受ける形式です。BCPを学び始める際の最初のステップとして位置づけられています。

受験資格・対象者

最も基本となるGrade I「事業継続管理者」は、年齢や所属企業を問わず誰でも受験することができます。一方、Grade II以上は、Grade Iの取得に加えてBCAOへの入会(正会員等)が条件となるため、BCPに継続的に関わっていく意思のある人向けの資格という位置づけです。

難易度・学習時間の目安

★★★☆☆ Grade Iは入門レベル。Grade IIIの主任管理士以上は実務経験が前提

Grade I「事業継続管理者」は、5時間の講習を受けた直後に1時間の試験が行われるため、講習内容をその場でしっかり理解できれば合格を目指せるレベルです。一方、Grade III「事業継続主任管理士」やGrade IV「事業継続上級管理士」になると、講習日数が長くなるだけでなく、実際にBCPを策定・運用してきた実務経験が前提となるため、知識だけでなく実践経験を積み重ねていく必要があります。

合格率の目安:Grade Iは講習を受けたうえでの試験のため、比較的高い割合で合格できるとされています。Grade IIから上は、講習・試験に加えて費用や会員資格などのハードルもあり、上位級ほど「継続して取り組んでいるかどうか」が問われる仕組みになっています。

取得後に活かせる仕事・関連する職種

企業の総務・リスク管理部門の担当者

企業の総務部やリスク管理部門の担当者にとって、BCPの策定・見直しは重要な業務のひとつです。事業継続管理者の知識は、自社のBCPを点検し、訓練を企画・実施する際の基礎になります。

BCPコンサルタント・コンサルティング会社の担当者

取引先企業に対してBCP策定を支援するコンサルティング会社にとって、BCAOの上位グレードの資格は、専門性を示す客観的な裏付けとなり、提案時の信頼性向上につながります。

中小企業診断士など士業の専門家

中小企業の経営支援を行う中小企業診断士などの士業にとって、BCPに関する知識を持っていることは、災害時の事業継続に課題を抱える中小企業へのアドバイスの幅を広げることにつながります。

誕生の背景・歴史

自然災害・感染症を契機としたBCPの広がり

日本では、大きな地震や水害のたびに、サプライチェーンの寸断や工場の操業停止が大きな問題として取り上げられてきました。さらに、感染症の世界的な流行では、人の出社そのものが制限される事態も経験し、企業が「何があっても重要な業務を止めない・早く復旧させる」ための計画を持つことの重要性が、業種を問わず広く認識されるようになりました。

BCAOの設立と資格制度の整備

こうした流れの中で、2006年に特定非営利活動法人事業継続推進機構(BCAO)が設立されました。BCAOは、国際規格であるISO22301(事業継続マネジメントシステム)の考え方も踏まえながら、日本企業の実情に合わせたBCP・BCMの普及啓発と、人材育成のための資格制度を整備してきました。

ISO22301とは、事業継続マネジメントシステム(BCMS)に関する国際規格です。BCPが「計画そのもの」を指すのに対し、BCM(事業継続マネジメント)は、計画の策定から訓練・見直しまでを継続的に運用していく仕組み全体を指します。

どんな人が、どんな目的で取得しているのか

企業の防災・リスク管理担当者

会社からBCP担当を任された総務・リスク管理部門の社員が、まずGrade I「事業継続管理者」を取得し、自社のBCPを基礎から見直すきっかけにするケースが多く見られます。

BCPコンサルタントを目指す人

BCP策定支援を専門とするコンサルタントとして独立・転職を目指す人が、Grade I取得後にBCAOの会員となり、Grade II・IIIへとステップアップしていくケースもあります。

中小企業診断士・社会保険労務士などの士業

すでに中小企業診断士や社会保険労務士として活動している人が、防災士の資格などとあわせてBCP関連資格を取得し、企業の危機管理・労務管理の両面からアドバイスできる専門家として、対応領域を広げています。

豆知識:「計画書を作って終わり」にしないための工夫

BCPは「作ること」より「使えること」が重要

BCPに関するよくある課題として、「立派な計画書は作ったものの、実際の災害時に誰も内容を覚えていなかった」というケースが挙げられます。そのため、BCAOの資格制度では、計画の作成方法だけでなく、定期的な訓練の実施や、訓練結果を踏まえた計画の見直し方法についても重視されています。

3年ごとの更新が「最新の知識」を保つ仕組みになっている

BCAOの認定資格はいずれも有効期限が3年で、更新には継続教育が必要です。BCPを取り巻く制度や災害事例は年々変化するため、この更新制度は、資格保有者が常に最新の知識をアップデートし続けられる仕組みとしての役割も果たしています。

まとめ ― 「もしも」のときも会社を止めないための知識

こんな方にとくにおすすめ

  • 会社からBCP・防災対策の担当を任されている方
  • BCP策定支援のコンサルタントを目指している方
  • 中小企業診断士・社会保険労務士など、企業支援に携わる士業の方

取得に向けた第一歩

まずは、誰でも受験できるGrade I「事業継続管理者」から挑戦してみましょう。5時間の講習でBCPの基本的な考え方を学べるため、自社のBCPの現状を点検する第一歩として取り組みやすい資格です。