衛生管理者(第一種・第二種)とは?
概要・難易度・取得後の活かし方を解説
衛生管理者の概要
衛生管理者は、労働安全衛生法にもとづく国家資格で、職場の衛生面(換気・照明・有害物質の管理・健康管理など)に関する技術的な事項を管理する専門職です。常時50人以上の労働者を使用する事業場では、この資格を持つ人を一定数選任することが法律で義務づけられています。
※ 労働安全衛生法とは、職場における労働者の安全と健康を確保するための法律です。衛生管理者は、この法律にもとづいて、一定規模以上の事業場に配置が義務づけられている資格のひとつです。
試験の出題範囲と形式
試験はマークシート方式で、「関係法令」「労働衛生」「労働生理」の3科目から出題されます。第一種は44問・試験時間3時間、第二種は30問・試験時間3時間で実施されます。
受験資格・対象者
受験には、学歴に応じた一定の実務経験が必要とされています。たとえば大学卒業者は1年以上、高校卒業者は3年以上の労働衛生の実務に従事した経験などが条件になります。誰でもすぐに受験できるわけではない点に注意が必要です。
第一種と第二種の違い
第二種は、情報通信業・金融業・小売業など、有害業務との関連が少ない業種の事業場でのみ衛生管理者になれる資格です。第一種は、こうした業種に加えて、製造業や建設業など、有害業務を含むすべての業種で衛生管理者になることができます。
※ 有害業務とは、有害な化学物質やガス、粉じん、騒音、振動などを取り扱う業務のことです。第一種では、こうした有害業務に関する科目も試験範囲に含まれます。
難易度・学習時間の目安
第二種は、毎回半数以上の受験者が合格しているとされ、比較的取り組みやすい資格です。第一種は、有害業務に関する科目が加わる分、合格率は第二種よりやや低くなる傾向があります。
学習時間の目安
第二種の学習時間の目安は40〜60時間程度とされており、市販のテキストと過去問演習を中心に学習すれば対応しやすいレベルです。第一種は、有害業務に関する内容が加わるため、60〜100時間程度が目安とされています。
合格基準
「関係法令」「労働衛生」「労働生理」の各科目で40%以上、かつ全体で60%以上の得点が合格基準とされています。1科目だけ極端に低い点数があると、全体の得点が足りていても不合格になる仕組みです。
※ 労働生理とは、人体の構造やしくみ(血液・呼吸・神経など)について、労働と健康の関係から学ぶ科目です。理科的な知識が必要に感じられますが、出題範囲は基礎的な内容が中心とされています。
取得後に活かせる仕事・関連する職種
総務・人事担当者
常時50人以上の労働者がいる事業場では、衛生管理者の選任が法律で義務づけられているため、総務・人事担当者がこの資格を取得し、社内の選任者として活動するケースが多く見られます。
製造業・建設業の現場管理者
有害業務を含む製造業や建設業では、第一種衛生管理者の知識が、職場の作業環境を整え、労働災害を防ぐための実務に直結します。現場管理者として、安全衛生面のリーダーシップを発揮できるようになります。
転職市場での評価
衛生管理者は、業種を問わず一定規模以上の企業であれば必要とされる資格のため、転職市場でも「総務・人事系の実務知識を持つ人材」として評価されやすい資格のひとつです。
誕生の背景・歴史
労働災害・職業病への対策として整備された資格
かつて多くの工場や現場では、有害物質や粉じんなどによる職業病が大きな社会問題となっていました。衛生管理者は、こうした問題を防ぐために、職場の衛生状態を専門的にチェックする担当者を配置する制度として整備されてきました。
オフィス中心の業種にも広がった背景
当初は工場などの現場をイメージしやすい資格でしたが、第二種が設けられたことで、情報通信業や金融業など、オフィス中心の業種でも衛生管理者の選任が必要になりました。メンタルヘルスや働き方に関する課題が増える中で、オフィス環境における「衛生」の重要性も見直されてきています。
※ 安全衛生技術試験協会とは、衛生管理者をはじめ、労働安全衛生分野の国家試験を実施している公益財団法人です。試験の日程や受験資格の詳細は、この協会のサイトで確認できます。
どんな人が、どんな目的で取得しているのか
総務・人事部門への配属が決まった人
会社で衛生管理者の選任が必要になったタイミングで、総務・人事部門の社員が取得を指示されるケースは多く見られます。会社の法令対応に直接関わる資格として、業務上の必要性から取得する人が中心です。
製造・建設現場で安全衛生を担いたい人
現場での労働災害防止に関心がある人にとって、第一種衛生管理者は、有害業務を含む現場全体の衛生管理を担うための専門知識を身につける機会になります。
キャリアコンサルタントなど他資格と組み合わせたい人
キャリアコンサルタントなど、人と関わる資格と組み合わせて、働く人の「健康面」からもサポートできる人材として、衛生管理者を取得する人もいます。
※ 労働基準監督官とは、企業が労働基準法などを守っているかを監督・指導する国家公務員です。衛生管理者の知識は、こうした法令に関わる仕事の入り口としても紹介されることがあります。
豆知識:「総務系の国家資格」として地味だが必須
知名度は低いが、企業には欠かせない資格
衛生管理者は、社会的な知名度はそれほど高くありませんが、常時50人以上の労働者を抱える企業であれば、必ず誰かが取得していなければならない資格です。「目立たないけれど、なくなると会社が法律違反になってしまう」という、実務上の重要性の高さが特徴です。
第一種・第二種の選び方に迷ったら
オフィス中心の会社であれば第二種で対応できる場合が多いですが、将来的に異動や転職で製造業・建設業に関わる可能性がある人は、最初から第一種を取得しておくと、選任できる事業場の範囲が広がるため安心です。
まとめ ― 職場の衛生管理を法的に担える国家資格
こんな方にとくにおすすめ
- 会社の法令対応として衛生管理者の選任を担うことになった人
- 製造業・建設業で現場の安全衛生に関わりたい人
- 総務・人事として実務に直結する国家資格を取得したい人
- キャリアコンサルタントなど他資格と組み合わせて活動の幅を広げたい人
取得に向けた第一歩
まずは自分の学歴・実務経験が受験資格を満たしているかを確認しましょう。条件を満たしていれば、市販のテキストと過去問演習で「関係法令」「労働衛生」「労働生理」の3科目をバランスよく学習することが、合格への近道です。
