キャリアコンサルタントとは?
概要・難易度・取得後の活かし方を解説
キャリアコンサルタントの概要
キャリアコンサルタントは、職業能力開発促進法にもとづく国家資格で、相談者の職業選び・キャリア形成・能力開発などについて、専門的な立場から相談・助言を行う専門職です。「キャリアコンサルタント」という名称は、この国家資格を持つ人だけが使うことができます。
※ キャリア形成とは、働く人が自分の能力や経験を活かしながら、職業人生をどのように築いていくかを考え、行動していくことです。転職・キャリアアップだけでなく、現在の仕事の中での成長も含まれます。
試験の出題範囲と形式
試験は学科試験と実技試験(論述・面接)に分かれています。学科試験ではキャリアコンサルティングの理論・関連法令・社会情勢など幅広い知識が問われ、実技試験では、相談者役に対して実際に面談を行う形式で、相談支援の実践力が評価されます。
受験資格・対象者
受験資格には、厚生労働大臣が認定する講習を修了する、もしくは一定の実務経験を有することなどの条件があります。実務経験がない人でも、認定講習を受講することで受験資格を得られるため、未経験からこの資格を目指す人も多くいます。
「相談に乗る」だけでなく「専門職」として認められる資格
キャリアコンサルタントは2016年に国家資格化され、それ以前は民間資格として複数の名称が併存していました。国家資格化により、一定の知識と実践力を持つ専門職として、社会的な位置づけが明確になった点が特徴です。
※ 論述・面接とは、実技試験の2つの形式です。論述は、相談記録などの事例を読んで、自分の考えを文章で書く試験、面接は、相談者役の人と実際にやり取りを行い、その対応の様子を評価される試験です。
難易度・学習時間の目安
キャリアコンサルタント試験の合格率は、学科・実技ともにおおむね60%台とされており、難関資格に分類されるほどの難易度ではありません。一方で、出題範囲の広い学科試験と、面接形式の実技試験の両方に対応する必要があるため、それぞれに応じた対策が欠かせません。
学習時間の目安
養成講習(認定講習)の受講には、150時間程度のカリキュラムを数ヶ月かけて学ぶのが一般的です。これに加えて、試験対策として学科の過去問演習や、実技試験のロールプレイ練習に取り組むのが標準的な進め方とされています。
実技試験対策のポイント
実技試験では、相談者の話をどう聴き、どう関わるかという「姿勢」そのものが評価されます。知識を覚えるだけでなく、養成講習の中でロールプレイを重ね、フィードバックを受けながら実践力を磨くことが、合格への近道とされています。
※ ロールプレイとは、相談者役と支援者役に分かれて、実際の相談場面を想定したやり取りを練習することです。キャリアコンサルタントの養成講習では、このロールプレイを繰り返し行うことが重視されています。
取得後に活かせる仕事・関連する職種
企業の人事・人材育成担当者
社員のキャリア面談や研修企画を担当する人事担当者にとって、キャリアコンサルタントの知識は、社員一人ひとりの成長を支援するうえで直接役立ちます。社内に専門知識を持つ人材がいることは、組織にとっても大きな強みになります。
転職エージェント・人材紹介会社のスタッフ
転職希望者のキャリアを丁寧にヒアリングし、適切な選択肢を提案する仕事では、キャリアコンサルタントとしての相談スキルがそのまま業務に直結します。資格を持つことで、利用者からの信頼度も高まります。
大学・専門学校のキャリアセンター職員
学生の就職活動を支援するキャリアセンターでは、学生一人ひとりの希望や強みを引き出しながら相談に応じる必要があります。キャリアコンサルタントの資格は、こうした学校現場でも広く活用されています。
誕生の背景・歴史
複数の民間資格が並立していた時代
キャリアコンサルタントが国家資格になる前は、「キャリア・カウンセラー」「キャリア・コンサルタント」など、複数の団体が似た名称の民間資格を認定していました。資格によって名称や認定基準が異なり、利用者から見て、その専門性がわかりにくいという課題がありました。
2016年の国家資格化
2016年、職業能力開発促進法の改正により、キャリアコンサルタントは国家資格となりました。これにより、「キャリアコンサルタント」の名称は登録を受けた人だけが使えるようになり、資格の信頼性と社会的な認知が大きく高まったとされています。
※ 職業能力開発促進法とは、働く人の職業能力を向上させるための施策を定めた法律です。キャリアコンサルタントは、この法律にもとづいて位置づけられている国家資格です。
どんな人が、どんな目的で取得しているのか
人事・人材業界で専門性を高めたい人
すでに人事や人材業界で働いている人が、自分の業務に専門的な裏付けを持たせるために、キャリアコンサルタントを取得するケースは多く見られます。
第二のキャリアとして相談支援の仕事を目指す人
これまでの社会人経験を活かして、誰かのキャリアを支援する仕事に転身したいと考える人にとって、キャリアコンサルタントは、未経験からでも目指せる国家資格として注目されています。
社会保険労務士など他資格と組み合わせたい人
社会保険労務士など、労務分野の専門家がキャリアコンサルタントを取得することで、制度面の知識と、個人のキャリア相談に対応する知識の両方を持つ専門家として、活動の幅を広げることができます。
※ 社会保険労務士とは、労働・社会保険に関する手続きや相談に対応する国家資格です。キャリアコンサルタントと組み合わせることで、制度面と個人面の両方から支援できる専門家として活動する人もいます。
豆知識:同じ国家資格でも、試験を実施する団体が複数ある
「キャリアコンサルタント試験」を実施する2つの団体
キャリアコンサルタント試験は、厚生労働大臣の登録を受けた複数の指定試験機関によって実施されています。どちらの機関で受験しても、合格すれば同じ国家資格「キャリアコンサルタント」として登録される点は変わりませんが、実技試験の選択科目などに違いがあるため、自分の経験や得意分野に合わせて選ぶ人もいます。
「資格を取って終わり」ではない、更新が必要な資格
キャリアコンサルタントには、5年ごとに更新講習を受ける必要がある「登録制度」があります。一度取得したら終わりではなく、知識やスキルを継続的に更新していくことが求められる点も、この資格の特徴のひとつです。
まとめ ― 「キャリアの相談相手」として認められる国家資格
こんな方にとくにおすすめ
- 人事・人材業界で専門性を裏付ける資格を取得したい人
- これまでの社会人経験を活かして相談支援の仕事に転身したい人
- 大学・専門学校のキャリアセンターで学生の就職支援をしたい人
- 社会保険労務士など他資格と組み合わせて活動の幅を広げたい人
取得に向けた第一歩
未経験の場合は、まず厚生労働大臣が認定する養成講習を探してみましょう。講習でロールプレイを重ねながら、相談支援の基本姿勢と学科の知識を同時に身につけていくことで、学科・実技の両方の試験対策につながっていきます。
