理容師免許について

実技試験あり筆記試験実務経験・学歴が必要
国家資格

理容師免許とは?

概要・難易度・美容師との違いを解説

理容師免許の概要

理容師免許は、理容室(バーバーショップ)で髪のカットや顔そりなどの施術を行うために必要な国家資格です。各都道府県知事から免許が交付され、理容師でなければ理容を業として行うことはできません。

理容とは、髪のカット・顔そり・整髪などを通じて容姿を整えることを指す言葉です。「理容師法」という法律で、理容師でなければ報酬を得て行ってはならない業務として定義されています。

試験の出題範囲と形式

理容師国家試験は、筆記試験と実技試験の2部構成です。筆記試験では関係法規・制度、衛生管理、保健、香粧品(こうしょうひん)化学、運営管理、理容理論などが出題されます。実技試験では、カッティングなどの技術を実際にモデルに対して行い、用具の取り扱いや衛生面も含めて評価されます。

実技試験では、決められた時間内にカットなどの工程を行い、できあがりの技術面に加えて、消毒・器具の扱いといった衛生管理の手順も審査対象になるとされています。

受験資格・取得までの流れ

理容師国家試験を受けるには、厚生労働大臣指定の理容師養成施設(専門学校など)で、所定の課程を修了することが必要です。修業年限は全日制で2年、通信制などでは3年程度が一般的とされています。養成施設で必要な知識・技術を学んだうえで、国家試験に挑む形になります。

美容師との大きな違い ― 「顔そり」ができる唯一の資格

理容師と美容師は、どちらも髪を扱う仕事という意味では似ていますが、法律上は明確に区別されています。中でも大きな違いとされているのが「顔そり(シェービング)」です。理容師法上の理容行為にはシェービングが含まれており、これは美容師免許だけでは原則として行えない施術とされています。

難易度・学習時間の目安

★★☆☆☆ 養成施設での2年間の学習を前提とすれば、試験自体は計画的に対策しやすいレベルとされています

理容師国家試験は、養成施設のカリキュラムに沿って学習を続けていれば対応できる範囲の出題が中心とされています。筆記試験はテキストの内容に沿った対策が立てやすく、実技試験は在学中から繰り返し練習する時間が確保されているため、独学でゼロから挑むタイプの資格と比べると、計画的に準備しやすい部類に入ります。

香粧品(こうしょうひん)化学とは、シャンプーや整髪料、パーマ液など、理容で使う薬剤・化粧品に関する化学の知識を扱う科目です。耳慣れない名前ですが、養成施設で基礎から学ぶ内容です。

合格率の目安:養成施設での学習を経た受験者が中心のため、合格率はおおむね高めの水準で推移しているとされています。

取得後に活かせる仕事・関連する職種

理容室・バーバーショップのスタイリスト

最も基本的な活躍の場が、理容室やバーバーショップでのスタイリスト業務です。カット・顔そり・シャンプー・整髪など、理容師免許があってはじめて任せられる業務の幅が広がります。経験を積んで店舗を任されたり、独立して自分の店を持つ道につながる資格でもあります。

出張理容・訪問理容サービス

高齢者施設や自宅などに出張して理容サービスを提供する「訪問理容」も、理容師免許を活かせる仕事のひとつです。高齢化が進む中で、店舗に行くことが難しい人に向けたサービスとして需要が広がっているとされています。

床山(とこやま)など特殊な現場での理容

相撲部屋で力士の髪を結う「床山」のように、特殊な分野で理容の技術が活かされる現場もあります。床山そのものは別の制度ですが、髪や顔を扱う基礎技術という点で理容の知識・技術が土台になっているとされています。

誕生の背景・歴史

1947年:理容師法と美容師法はもともと一つだった

現在の理容師制度の土台は、1947年に制定された「理容師法」にあります。当時はこの法律の中で、現在の美容師に近い業務も含めて整理されていたとされており、理容と美容が制度上まだ明確に分かれていない時代もありました。

1957年以降:分離とそれぞれの専門分化

その後、1957年前後にかけて「美容師法」が独立した法律として整備され、理容師と美容師はそれぞれ別の資格・別の法律のもとで発展していくことになりました。この分離の経緯が、現在も「顔そりは理容師のみ」といった業務範囲の違いとして残っているとされています。

どんな人が、どんな目的で取得しているのか

実家の理容室を継ぐために学ぶ人

地域に根づいた理容室を家族で営んでいる場合、その後継者として理容師養成施設に進学し、免許を取得するケースは昔から一定数あります。長年の常連客との関係も含めて、店を引き継ぐための土台として資格を取得する人が多いとされています。

「バーバー」の世界に惹かれて未経験から目指す人

近年は、クラシックな内装やシェービングサービスを前面に出した「バーバー」スタイルの理容室が注目されており、こうした雰囲気に惹かれて未経験から理容師養成施設に入学する人も増えているとされています。

美容師として働きながらダブルライセンスを目指す人

美容師として働く中で、顔そりなどの理容行為を含めたサービスを提供したいという理由から、理容師免許も取得して両方の資格を持つ「ダブルライセンス」を目指す人もいます。提供できる施術の幅を広げたいという動機が背景にあるとされています。

豆知識:「顔そり」ができるのは理容師だけ

シェービングは法律上の「理容行為」

美容室でフェイシャルマッサージのようなサービスを受けたことがある人もいるかもしれませんが、カミソリを使った本格的な顔そりは、理容師法上「理容」に含まれる行為とされており、美容師免許のみでは行えない範囲とされています。理容室に行くと「顔そりまでセットでやってもらえる」という体験は、この法律上の違いに基づいているといえます。

床山(とこやま)とは、相撲部屋で力士の髪を「大銀杏(おおいちょう)」などのまげに結う専門職の呼び名です。理容師免許とは別の世界ですが、髪を扱う伝統的な職人技という点で理容の歴史と重なる部分があるとされています。

近年の「バーバーブーム」と理容師人口

理容師の数は全国的に減少傾向が続いているといわれていますが、その一方で、若い世代向けにデザイン性の高いカットやシェービングを売りにする「バーバー」スタイルの理容室が都市部を中心に増えているとされています。古くからの技術が、新しい形で再評価されている分野のひとつといえそうです。

まとめ ― 「顔そりまで任せられる」資格としての理容師

こんな方にとくにおすすめ

  • 実家や地域の理容室を将来引き継ぎたい方
  • クラシックなバーバースタイルの理容室で働きたい方
  • 美容師として働きながら顔そりなど施術の幅を広げたい方
  • 高齢者施設などへの訪問理容に関心がある方

取得に向けた第一歩

理容師免許は、厚生労働大臣指定の理容師養成施設に進学することが取得への第一歩になります。学校説明会やオープンキャンパスなどで、カリキュラムの内容や実技練習の環境を確認してみることから始めるとよいでしょう。すでに美容師として働いている方は、夜間部や通信制のコースが利用できるかどうかを調べてみるのもおすすめです。国家試験の詳細は、試験を実施している理容師美容師試験研修センターの公式サイトで確認できます。

公益財団法人 理容師美容師試験研修センター