全経簿記能力検定について

筆記試験誰でも受験可
民間資格

全経簿記能力検定とは?

概要・難易度・取得後の活かし方を解説

全経簿記能力検定の概要

全経簿記能力検定は、公益社団法人全国経理教育協会が実施している簿記検定試験です。「日商簿記」と並ぶ簿記検定として知られ、経理専門学校などの授業を通じて受験する人が多いことも特徴のひとつです。

簿記とは、会社のお金やモノの動きを記録・整理し、最終的に決算書をつくるための技術のことです。経理や会計の仕事の基礎となる知識として、多くの検定で扱われています。

試験の出題範囲と形式

基礎簿記会計・初級・3級・2級・1級・上級という6段階で構成されており、いずれも筆記試験で実施されます。下位の級では基本的な仕訳や帳簿の作成が中心ですが、級が上がるにつれて、商業簿記に加えて工業簿記・原価計算・会計学といった分野が加わっていきます。

受験資格・対象者

受験資格に制限はなく、誰でも受験できます。1つの級だけでなく、初級から上級まで段階的にステップアップしながら学べる構成になっているため、簿記を基礎から学びたい人にとって取り組みやすい検定です。

「日商簿記」とは違う、もうひとつの簿記検定

簿記検定としては日本商工会議所が実施する「日商簿記検定」が最も有名ですが、全経簿記能力検定は全国経理教育協会が実施する、別の検定です。出題範囲や難易度の構成は似ている部分もありますが、主催団体が異なる、独立した検定として位置づけられています。

日商簿記検定とは、日本商工会議所が主催する簿記検定で、日本でもっとも広く知られている簿記の資格のひとつです。全経簿記能力検定とは主催団体・実施回数などが異なります。

難易度・学習時間の目安

★★★★☆ 上級は日商簿記1級と同等とされる、簿記検定の最高峰

下位の級は、簿記を初めて学ぶ人でも取り組みやすい内容です。一方で最上位の「上級」は、商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算の4科目が出題される、本格的な試験になります。

上級の試験形式と合格基準

上級は、商業簿記・会計学の2科目で90分、工業簿記・原価計算の2科目で90分、合計3時間にわたって実施されます。合格基準は、4科目の合計が280点以上、かつ各科目で40点以上を取ることとされています。1科目でも極端に低い点数があると、合計点が足りていても不合格になる仕組みです。

学習時間の目安

初級・3級レベルであれば、50〜100時間程度の学習で対応できるとされています。一方、上級は日商簿記1級に近いレベルとされ、500時間以上の学習が必要になることも珍しくありません。級によって難易度の差が大きいことも、この検定の特徴です。

原価計算とは、製品やサービスをつくるためにかかったコストを計算する手法のことです。工業簿記とあわせて、製造業の経理でとくに重要となる分野です。

合格率の目安:上級の合格率はおおむね20%程度とされ、日商簿記1級(約10%)よりやや高めですが、簿記検定の中でも難関級のひとつです。下位の級は、級が下がるほど合格率も高くなる傾向があります。

取得後に活かせる仕事・関連する職種

経理・会計事務スタッフ

下位の級で身につく仕訳や帳簿作成の知識は、経理・会計事務の基本業務に直結します。経理専門学校などでは、就職前にこの検定で実務の基礎を固めるケースが多く見られます。

製造業の経理・原価管理担当者

2級以上では工業簿記・原価計算が出題範囲に含まれるため、製造業で製品ごとのコストを管理する業務にも知識を活かせます。原価意識を持って業務にあたれる人材として評価されやすくなります。

税理士・会計士を目指す人の土台づくり

上級は、税理士試験の受験資格にもつながる検定です。税理士など、より専門的な資格を目指す人にとって、その第一歩となる重要な検定として活用されています。

税理士試験とは、税務の専門家である税理士になるための国家試験です。受験するには、簿記の検定試験で一定の級に合格していることなど、所定の受験資格を満たす必要があります。

誕生の背景・歴史

経理教育の現場から生まれた検定

全経簿記能力検定は、経理専門学校などを運営する全国経理教育協会によって実施されてきた検定です。教育現場で簿記を教える立場の団体が主催していることから、初学者が段階的にレベルアップできるよう、級の数が細かく設定されているとされています。

「上級」が税理士試験の入り口になった経緯

全経簿記能力検定の上級は、日商簿記1級と同様に、合格することで税理士試験の受験資格が得られる検定として位置づけられています。簿記の実力を測るだけでなく、その先の専門資格への道を開く検定として発展してきました。

どんな人が、どんな目的で取得しているのか

経理専門学校で学ぶ学生

授業のカリキュラムに組み込まれている学校も多く、初級・3級・2級と段階的に取得しながら、簿記の基礎を体系的に身につけていくケースが一般的です。

日商簿記とあわせて実力を確認したい人

すでに日商簿記を持っている人が、別の視点から自分の理解度を確認するために、全経簿記能力検定を受験することもあります。出題傾向の違いを通じて、理解の抜けを発見できることもあります。

税理士試験を見据えている人

上級に合格することで税理士試験の受験資格が得られるため、税理士を目指す人にとって、避けて通れない関門のひとつとなっています。

豆知識:「もうひとつの最高峰」というポジション

知名度は控えめでも、日商簿記1級と同格の実力

日商簿記1級は知名度が高い一方、全経簿記能力検定の上級は、一般的にはあまり名前を知られていません。しかし、税理士試験の受験資格という観点では、両者は同じ価値を持つ検定として扱われています。「知る人は知る、最高峰の検定」というポジションは、なかなか面白い立ち位置といえます。

級の数が多いからこそ、挫折しにくい

基礎簿記会計・初級・3級・2級・1級・上級と、他の簿記検定に比べて級の数が多いのも特徴です。一気に高い級を目指すのではなく、小さな達成感を積み重ねながら上級まで進めるという、学習者目線の設計になっています。

まとめ ― 簿記の基礎から税理士への入り口まで支える検定

こんな方にとくにおすすめ

  • 簿記をゼロから段階的に学びたい人
  • 経理専門学校などで簿記の授業を受けている学生
  • 日商簿記と並行して実力を確認したい人
  • 税理士試験の受験資格を得たい人

取得に向けた第一歩

まずは初級・3級レベルから、仕訳や帳簿作成といった簿記の基本に取り組んでみましょう。級ごとに目標を立てやすい検定なので、ひとつずつ着実にステップアップしていくことで、上級・税理士試験という先の目標にもつながっていきます。

公益社団法人 全国経理教育協会 ZENKEI 簿記能力検定