相続診断士とは?
概要・難易度・取得後の活かし方を解説
相続診断士の概要
相続診断士は、一般財団法人相続診断協会が認定している民間資格です。相続に関する基本的な知識を身につけ、相続を控えた人やその家族が抱える悩みに気づき、税理士・弁護士・司法書士といった専門家へつなぐ役割を担う人材を認定する資格として知られています。
※ 相続とは、人が亡くなったときに、その人の財産(お金・不動産など)を家族などが引き継ぐことです。相続には期限のある手続きや、家族間の話し合いが必要になる場面が多く、専門知識が求められます。
試験の出題範囲と形式
試験はCBT方式(コンピューターを使った試験)で実施され、全国260箇所以上の会場から、希望の日時を選んで受験できます。出題は相続税法に関する内容が中心で、相続の基本的な制度や手続きについての知識が問われます。
受験資格・対象者
受験資格に制限はなく、誰でも受験できます。相続診断士のほかに、より幅広い知識を問う「上級相続診断士」という資格もありますが、こちらも受験資格は設けられておらず、最初から上級に挑戦することも可能です。
「専門家になる」のではなく「専門家へつなぐ」資格
相続診断士は、相続税の申告書を作成したり、法律的な手続きを代理したりする資格ではありません。相続診断士自身が専門業務を行うのではなく、相談者の状況を整理し、必要に応じて税理士や弁護士などの専門家につなぐ「入口」の役割を担う点が、この資格の特徴です。
※ CBT方式とは、Computer Based Testingの略で、パソコンを使って受験する試験方式のことです。相続診断士の試験は、全国の専用会場で、自分の都合に合わせた日時に受験できます。
難易度・学習時間の目安
相続診断士の合格率はおおむね90%以上とされており、専門資格の中では難易度が高くない部類に入ります。相続に関する用語や制度の全体像をひととおり理解していれば、対応できる出題内容です。
学習時間の目安
初めて相続について学ぶ人は3〜6ヶ月程度、日頃から相続関連の仕事に携わっている人であれば1〜2ヶ月程度が学習時間の目安とされています。協会が提供する公式の通信講座を使って学ぶのが一般的な進め方です。
上級相続診断士との違い
相続診断士が相続の基礎知識を中心とするのに対し、上級相続診断士では、より幅広く、実務に近い内容まで出題範囲が広がります。すでに相続関連の業務に携わっている人は、最初から上級相続診断士を目指すケースもあります。
※ 相続税法とは、相続によって財産を引き継いだときにかかる税金(相続税)について定めた法律です。相続診断士の試験では、この相続税法に関する基本的な知識が中心的に出題されます。
取得後に活かせる仕事・関連する職種
保険・金融関連の営業職
生命保険や金融商品の提案をする営業職にとって、相続の基本的な知識を持っていることは、顧客の家族構成や将来の不安に寄り添った提案を行ううえで役立ちます。相続をきっかけにした相談から、専門家への紹介につなげるケースもあります。
不動産業の担当者
不動産の売買や相続にともなう名義変更などの相談では、相続の基礎知識があることで、顧客の状況をより正確に把握できます。必要に応じて税理士や司法書士と連携する際にも、相続診断士としての知識が橋渡しの役割を果たします。
税理士・行政書士事務所のスタッフ
専門家自身がすでに高度な知識を持っている場合でも、事務所のスタッフが相続診断士の知識を持っていることで、相談者からの初期的な質問に対応しやすくなり、業務の効率化につながります。
誕生の背景・歴史
相続トラブルを「未然に防ぐ」という発想
相続をめぐる家族間のトラブルは、何の準備もしていないまま相続が発生してしまうことが原因のひとつとされています。相続診断士は、こうしたトラブルが起きる前に、相続の基本的な知識を持つ人が早い段階で気づき、専門家への相談を促すことを目的として生まれた資格です。
相続診断協会という認定団体
相続診断士を認定しているのは、一般財団法人相続診断協会です。相続に関する啓発活動や、相続診断士の養成・認定を通じて、相続に関する正しい知識を広めることを目的として活動している団体です。
※ 相続トラブルとは、相続をきっかけに家族間で意見が対立したり、手続きが滞ったりすることを指します。早めに相続の知識を持ち、専門家に相談しておくことで、こうしたトラブルを防ぎやすくなるとされています。
どんな人が、どんな目的で取得しているのか
顧客の相続相談に対応したい営業職・士業スタッフ
保険・金融・不動産・士業など、顧客と接する機会が多い仕事では、相続の話題が出ること自体が珍しくありません。相続診断士の知識があることで、相談に適切に対応し、必要であれば専門家へつなぐという行動がとりやすくなります。
自分の家族の相続に備えたい人
仕事に直接関係がなくても、自分や家族の将来の相続に備えて、相続の基本的な知識を体系的に学びたいという理由で受験する人もいます。
相続関連の資格をステップアップしたい人
まず相続診断士で相続全体の基礎を学び、その後、より専門的な知識を問う上級相続診断士や、税理士・行政書士などの国家資格を目指すというステップアップの形で活用されることもあります。
※ 士業とは、税理士・弁護士・行政書士・司法書士など、「士」がつく専門職の総称です。相続では、扱う内容によって相談すべき士業が異なるため、相続診断士のような「整理して専門家につなぐ」役割が重要とされています。
豆知識:資格の目的は「自分で解決すること」ではない
合格率9割でも「使えない資格」ではない理由
合格率が9割以上と聞くと、「あまり役に立たない資格なのでは」と感じるかもしれません。しかし、相続診断士の目的は、難しい試験に合格すること自体ではなく、相続について相談したいと考えている人に最初に気づき、適切な専門家へつなぐ人を増やすことにあります。難易度の低さは、できるだけ多くの人にこの役割を担ってもらうための設計だといえます。
「専門家になる資格」ではなく「専門家とつながる資格」
相続診断士を取得しても、相続税の申告や法律相談を自分で行えるようになるわけではありません。むしろ、自分の専門分野以外の相談を受けたときに、適切な専門家を紹介できるようになることが、この資格の価値だと考えられています。
まとめ ― 相続の「気づき役」を担うための資格
こんな方にとくにおすすめ
- 保険・金融・不動産などで顧客の相続相談に触れる機会がある人
- 税理士・行政書士事務所などで初期相談に対応するスタッフ
- 自分や家族の相続に備えて基礎知識を身につけたい人
- 相続関連の資格をステップアップして学びたい人
取得に向けた第一歩
まずは公式サイトで提供されている講座などを使って、相続の基本的な制度や用語に触れてみましょう。CBT方式で実施されているため、自分の都合に合わせて受験日程を選びやすく、相続についての知識を整理する第一歩として取り組みやすい資格です。
