経理・財務スキル検定(FASS検定)とは?
概要・難易度・取得後の活かし方を解説
経理・財務スキル検定(FASS検定)の概要
経理・財務スキル検定、通称「FASS検定」は、経理・財務分野の実務スキルを客観的に測定するための検定試験です。一般社団法人日本CFO協会が運営しており、経理・財務の第一線で活躍する実務家が開発に関わった、実務に特化した検定として知られています。
※ CFO(Chief Financial Officer)とは、企業の財務戦略全体を統括する最高財務責任者のことです。日本CFO協会は、経理・財務に関わる人材の育成・支援を目的とした団体です。
試験の出題範囲と形式
FASS検定は、「資産・決算・税務・資金」の4分野から構成されており、試験時間は90分です。出題形式は四肢択一で、コンピューターを使って受験するCBT方式が採用されています。なお、追加で受験できるオプション科目もあり、その試験時間は30分です。
受験資格・対象者
受験資格に制限はなく、どなたでも受験できます。経理・財務部門で実務に携わっている社会人だけでなく、これから経理職を目指す学生や、自分の実務知識を客観的に確認したい人まで、幅広い層が受験しています。
合否ではなく「スコア」で評価される検定
FASS検定の最大の特徴は、合格・不合格という形ではなく、800点満点のスコアとA〜Eの5段階評価で結果が示される点です。「合格できるかどうか」ではなく「いまの自分の実務レベルはどのくらいか」を知るための、ものさしのような検定だといえます。
※ CBT方式とは、Computer Based Testingの略で、会場のパソコンを使って受験する試験方式のことです。日程の選択肢が多く、結果もスピーディーに確認できるのが特徴です。
難易度・学習時間の目安
FASS検定には「合格ライン」がないため、一般的な検定試験のような難易度の感じ方とは少し異なります。とはいえ、簿記の知識だけでは対応しきれない実務的な内容も多く含まれているため、しっかり対策しておくことで、より高いスコア・評価を狙えます。
学習時間の目安と前提知識
日商簿記2級程度の知識があると、内容を理解しやすいといわれています。経理・財務の実務経験がない場合の学習時間の目安は、80〜120時間程度とされています。実務経験がある人であれば、知識の整理を中心に、より短時間での対策も可能です。
勉強法の方向性
専用の対策テキストや問題集を使って、4分野(資産・決算・税務・資金)をバランスよく学習するのが基本です。とくに「資金」分野は、簿記の学習であまり触れない内容も含まれるため、重点的に対策しておくと安心です。
※ 日商簿記2級とは、商工会議所が主催する簿記検定の中級レベルにあたる資格です。企業の経理実務に必要な、複式簿記の基本を体系的に学べる内容になっています。
取得後に活かせる仕事・関連する職種
経理・財務部門の担当者
日々の仕訳や決算業務、税務処理、資金管理など、経理・財務部門で求められる幅広い実務知識を、スコアという形で客観的に示せます。社内での評価やキャリアアップの材料として活用しやすい検定です。
経理職への転職を目指す人
未経験から経理職に転職したい場合、簿記の資格だけでは「実務でどこまで通用するか」が伝わりにくいことがあります。FASS検定のスコアを示すことで、実務に即した知識を持っていることを採用担当者にアピールしやすくなります。
将来的に管理職・CFOを目指す人
FASS検定のスコアは、役職や年収との間に一定の相関関係があるとする調査結果も示されています。将来的に経理・財務部門のマネジメント職や、CFOのようなポジションを目指すうえでの、現状把握の指標としても活用できます。
誕生の背景・歴史
経済産業省の人材育成事業から生まれた検定
FASS検定は、経済産業省が推進した「経理・財務人材育成事業」の取り組みの中で整備された検定だとされています。企業の経理・財務部門で求められるスキルを標準化し、客観的に測定できる仕組みをつくることが目的のひとつでした。
日本CFO協会による運営へ
その後、検定の運営は一般社団法人日本CFO協会が担うようになり、現在も継続的に実施されています。経理・財務分野の実務スキルを「資格」としてではなく「スコア」で示すという発想は、当時としてはユニークな試みだったといえます。
※ 経済産業省とは、日本の産業政策やエネルギー政策などを担当する行政機関です。企業の経営基盤を支える人材育成の観点から、経理・財務分野のスキル標準化にも関わってきました。
どんな人が、どんな目的で取得しているのか
簿記資格にプラスして実務力を示したい人
日商簿記検定で知識の土台を固めたうえで、「実務でどこまで対応できるか」を示すために、FASS検定を受験するケースが多く見られます。簿記とFASS検定をセットで持っておくことで、知識と実務力の両方を伝えられます。
経理部門で異動・昇進を目指す人
社内での評価制度にFASS検定のスコアが組み込まれている企業もあるとされています。経理・財務部門でのキャリアアップを目指す人にとって、スコアアップは具体的な目標になりやすいです。
自分の経理スキルを定期的に確認したい人
「何年も経理をやっているけれど、自分のレベルが客観的にどのくらいか分からない」という人にとって、定期的にFASS検定を受けてスコアの変化を見ることは、実務力を見直すよい機会になります。
豆知識:「合格・不合格」がない検定というユニークな仕組み
800点満点・A〜E評価という独自の仕組み
多くの検定試験は「合格」か「不合格」かの二択ですが、FASS検定は800点満点のスコアとA〜Eの5段階評価で結果が示されます。たとえ高い評価を得られなくても「不合格」という結果にはならず、現時点での実力を客観的に知るための診断ツールのような位置づけになっています。一度落ちたら終わり、というプレッシャーが少ないのも特徴です。
スコアと年収・役職の相関関係
FASS検定では、スコアが高い人ほど役職や年収が高い傾向にあるという調査結果が示されたことがあります。「経理・財務の実務スキルが高い人ほど、評価されやすいポジションに就きやすい」というシンプルな関係が、データとして可視化されているのは興味深いポイントです。
まとめ ― 経理・財務の実務力を「スコア」で見える化する検定
こんな方にとくにおすすめ
- 簿記の知識を、実務レベルでどこまで活かせるか確認したい人
- 経理・財務職への転職で、実務力をアピールしたい人
- 経理部門でのキャリアアップを目指している人
- 将来的にCFOなど財務系のマネジメント職を目指したい人
取得に向けた第一歩
まずは日商簿記2級程度の知識を確認しながら、FASS検定向けの対策テキストで「資産・決算・税務・資金」の4分野を一通り学習しましょう。合否を気にしすぎず、現状のスコアを知るところから始めるのが、この検定との上手な付き合い方です。
