電子会計実務検定とは?
概要・難易度・取得後の活かし方を解説
電子会計実務検定の概要
電子会計実務検定は、日本商工会議所が実施している検定試験で、会計ソフトを使った実務処理(電子会計)の能力を認定するものです。「簿記の知識」だけでなく、「会計ソフトを実際に操作できるか」を測る検定として知られています。
※ 電子会計とは、紙の帳簿ではなく、パソコンの会計ソフトを使って仕訳や決算などの処理を行うことを指します。多くの企業で導入が進んでおり、経理業務の標準的なスタイルになっています。
試験の出題範囲と形式(市販ソフトを使った実技試験)
この検定の大きな特徴は、「弥生会計」や「勘定奉行」といった、実際に企業で使われている市販の会計ソフトを使って出題・解答する実技試験である点です。3級・2級・1級の3段階があり、CBT方式(コンピューターを使った試験)で実施されています。
受験資格・対象者
受験資格に制限はなく、誰でも受験できます。3級は会計実務の担当者や一般社会人、学生などを主な対象としており、級が上がるにつれて、より実務に近い処理が求められるようになります。
簿記の知識と会計ソフト操作、両方が必要
電子会計実務検定では、簿記の基本的な考え方を理解していることを前提に、それを会計ソフト上でどう処理するかが問われます。簿記の知識はあっても、ソフトの操作に慣れていないと対応が難しい問題も出題されるため、両方の準備が必要です。
※ CBT方式とは、Computer Based Testingの略で、パソコンを使って受験する試験方式のことです。電子会計実務検定では、実際の会計ソフトの操作画面を使って解答します。
難易度・学習時間の目安
3級は、簿記3級程度の知識があれば取り組みやすいレベルとされています。2級になると、より複雑な取引や決算処理が出題され、1級では応用的な内容まで含まれます。
合格基準と学習時間
各級とも100点満点で、70点以上が合格基準とされています。3級の学習時間の目安は30〜50時間程度で、簿記の知識がある人であれば、ソフトの操作練習を中心に対策すれば対応できるとされています。
勉強法の方向性
公式サイトでは、弥生会計版のサンプル問題が会計データとともに提供されています。実際にソフトをインストールし、サンプルデータを使って一連の処理を操作してみることが、もっとも効果的な対策になります。
※ 弥生会計・勘定奉行とは、いずれも日本国内で広く使われている会計ソフトの代表的な製品名です。中小企業から大企業まで、さまざまな規模の会社で導入されています。
取得後に活かせる仕事・関連する職種
経理・会計事務スタッフ
多くの会社が会計ソフトを使って経理処理を行っているため、ソフトの操作に慣れていることは、入社後すぐに実務へ入っていくうえで大きなアドバンテージになります。
中小企業の総務・事務担当者
専門の経理スタッフがいない中小企業では、総務担当者が会計ソフトを使った入力業務を兼務することも多くあります。電子会計実務検定で身につけたスキルは、こうした場面でそのまま活かせます。
在宅ワーク・経理代行を目指す人
クラウド会計ソフトの普及により、在宅での経理代行の仕事も増えています。会計ソフトを操作できることを検定で示せると、業務委託の仕事を受けるうえでの説得力につながります。
誕生の背景・歴史
「手書きの簿記」から「ソフトでの会計」への移行
かつて経理業務は、手書きの帳簿をもとに処理されるのが当たり前でした。しかし、パソコンの普及とともに会計ソフトの利用が一般化し、「簿記を知っているだけでは実務に対応できない」という状況が生まれてきました。電子会計実務検定は、こうした時代の変化に対応するために設けられた検定だとされています。
市販ソフトをそのまま試験に使うという発想
この検定のユニークな点は、独自の専用ソフトではなく、実際に企業で使われている市販の会計ソフトをそのまま試験に採用していることです。検定で学んだ操作が、そのまま職場のソフト操作に直結するという、実務との距離の近さが特徴です。
どんな人が、どんな目的で取得しているのか
簿記の知識を実務に結びつけたい人
簿記の勉強はしたものの、実際の会計ソフトに触れたことがない人にとって、この検定は知識と実務をつなぐ第一歩になります。
未経験から経理職への転職を目指す人
「会計ソフトの操作経験がない」ことが転職時の不安要素になっている人にとって、検定の取得は実務への適応力を示す材料になります。
会計事務所のスタッフ・パート
会計事務所では、クライアント企業のデータをさまざまな会計ソフトで処理することがあります。複数のソフトに対応できる柔軟さを示すうえでも、この検定は役立ちます。
※ クラウド会計ソフトとは、インターネット経由で利用する会計ソフトのことです。インストール不要でどこからでもアクセスできるため、在宅ワークや複数拠点での経理業務との相性がよいとされています。
豆知識:検定問題が「本物のソフト」で出題されるという珍しさ
練習がそのまま実務練習になる検定
多くの検定では、検定専用に作られた問題形式に慣れる必要がありますが、電子会計実務検定では、職場でそのまま使われている会計ソフトの画面で出題されます。つまり、検定対策がそのまま「会計ソフトの実務練習」になるという、ほかの検定にはあまり見られない構造を持っています。
簿記検定と組み合わせると効果が高い
「日商簿記検定で理論を学び、電子会計実務検定でソフト操作を学ぶ」という組み合わせ方が、効率的なステップアップとして紹介されることがあります。知識と実技をセットで身につけられる点は、この検定ならではの強みです。
まとめ ― 「会計ソフトを操作できる」を証明する実技検定
こんな方にとくにおすすめ
- 簿記の知識を、実際の会計ソフト操作につなげたい人
- 未経験から経理・会計事務職への転職を目指す人
- 在宅での経理代行・事務代行の仕事を考えている人
- 会計事務所などで複数の会計ソフトに対応できる力をつけたい人
取得に向けた第一歩
まずは3級から、公式サイトで提供されているサンプル問題を使って、会計ソフトの基本操作に触れてみましょう。簿記の知識があやふやな部分があれば、簿記3級レベルの復習と並行して進めると、よりスムーズに学習できます。検定はCBT方式で実施されているため、自分の都合に合わせて受験日程を選びやすいのも、学習を続けやすいポイントです。
