情報セキュリティマネジメント試験とは?
概要・難易度・取得のメリットを解説
情報セキュリティマネジメント試験の概要
情報セキュリティマネジメント試験は、組織の情報セキュリティを管理する立場に必要な知識を問う国家試験です。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施しており、「技術者でなくても、情報セキュリティの基本を体系的に理解していること」を証明できる資格として注目されています。
※ 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)とは、国の情報処理に関する政策を支える機関のこと。情報セキュリティマネジメント試験のほか、ITパスポートや基本情報技術者試験をはじめとする複数の国家試験の実施・運営を担っています。
どんな人のための資格?
受験資格に制限はなく、誰でも挑戦できます。情報システム部門の担当者はもちろん、営業職や総務職など、ITの専門家ではない立場の方が「情報を安全に扱う知識」を身につけるために選ぶことも多い資格です。
「会社の情報を守る基本を、自分の言葉で説明できるようになりたい」という、すべての社会人に開かれた試験といえるでしょう。
試験の受け方
試験はパソコンを使って解答する「CBT方式」で実施されており、全国の専用会場で、好きな日時を選んで受験できます。出題は「科目A・科目B」の2パートに分かれており、いずれも多肢選択式です。
※ CBT方式とは、Computer Based Testingの略で、紙の試験用紙ではなくパソコンの画面上で解答する試験方式のこと。受験日時を自分の都合に合わせて選びやすいのが特徴です。科目A・科目Bとは、知識を問う問題(科目A)と、より実践的な読解力・判断力を問う問題(科目B)の2つのパートのことを指します。
受験料の目安は7,500円(税込)で、申し込みは公式サイトの専用ページからオンラインで行います。受験料や試験内容は変更される場合があるため、お申し込み前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。
出題される分野
出題範囲は、情報セキュリティの基礎知識を中心に、組織での情報の取り扱い方や、トラブルが起きたときの対応方法など、実務に直結するテーマが中心です。専門的な技術というより、「組織として情報をどう守るか」という視点が重視されているのが特徴です。
難易度・学習時間の目安
結論からいうと、情報セキュリティマネジメント試験は「専門的な技術知識がなくても、コツコツ学習を積み重ねれば手が届く試験」です。ITに自信がない方の最初の一歩としても選ばれやすい資格といえます。
客観的な目安となる数値
国家試験の中では取り組みやすい水準にあり、初めて情報処理系の資格に挑戦する方にも選ばれやすい試験です。
- 学習時間の目安:これまでITの学習経験がない場合でもおよそ50〜100時間程度といわれています
- 出題形式:CBT方式で実施され、科目A・科目Bともに多肢選択式の問題が出題されます(出題数や時間は変更される場合があるため、受験前に必ず公式情報をご確認ください)
「セキュリティの基本」を学びたい人の入り口に
もちろん、聞き慣れない専門用語も登場するため、最初は戸惑う場面もあるかもしれません。ただ、出題の中心は「日常業務で起こりうる場面」が多く、実生活と結びつけながら学べるのもこの試験の特徴です。
「情報セキュリティについて、人に説明できるくらいの知識を身につけたい」という方にとって、ちょうどよい目標になってくれるでしょう。
取得後に活かせる仕事・関連する職種
情報セキュリティマネジメント試験は、「情報を安全に取り扱う基本を理解している人材」であることを示してくれる資格です。IT部門に限らず、あらゆる職種で評価されやすいのが大きな魅力です。
知識を直接活かしやすい職種・業務
なかでも、次のような職種・業務では知識を直接活かしやすいでしょう。
- 情報システム部門の担当者や、社内のセキュリティ推進を担うスタッフの仕事
- 個人情報や顧客情報を扱う営業職・事務職など、情報管理が求められる仕事全般
- 新入社員研修や情報セキュリティ教育を企画・運営する人事・総務の仕事
※ 情報セキュリティの知識は、特定の職種だけでなく「すべての社会人に求められる基礎教養」になりつつあるといわれています。資格を通じてその土台を築いておくと、どの職場でも安心して仕事に取り組みやすくなるでしょう。
就職・転職活動でのアピール材料にも
「情報を安全に扱う意識が高い」ことは、業種を問わず企業からの信頼につながりやすいポイントです。「セキュリティ意識の高さをアピールしたい」「情報管理に関わる部署を志望したい」という方にとって、心強い裏付けになってくれるでしょう。
専門資格へのステップアップにも
また、ここで身につけた基礎は、より専門的な資格にもつながります。「まずはマネジメント視点の基礎を固めてから、技術面を深掘りする資格に挑戦する」というルートを選ぶ人も少なくありません。
- 情報処理安全確保支援士:情報セキュリティの専門家として、より高度な知識・技術が求められる国家資格
- 基本情報技術者試験:情報処理技術者試験の登竜門として、技術者としての基礎力を問う国家試験
※ どちらも情報セキュリティマネジメント試験と同じ「情報処理技術者試験」の仲間です。情報セキュリティマネジメント試験はマネジメント視点の基礎を学ぶ試験、情報処理安全確保支援士はその専門性をさらに極める試験、とイメージするとわかりやすいでしょう。それぞれの記事も準備が整い次第、このサイトでご紹介していく予定です。
誕生の背景・歴史
情報セキュリティマネジメント試験は、サイバー攻撃や情報漏えいなどのリスクが社会全体で意識されるようになった時代の流れを受けて、「技術者でなくても、組織の一員として情報セキュリティを正しく理解できる人材」を育てる目的で創設された、比較的新しい国家試験です。
「全員が当事者」という考え方の広まり
情報セキュリティはかつて「専門部署が対応するもの」と捉えられがちでしたが、近年は「組織で働く一人ひとりが当事者である」という考え方が広まっています。この試験は、そうした時代の変化を象徴する資格のひとつだといえるでしょう。
どんな人が、どんな目的で取得しているのか
情報セキュリティマネジメント試験は「IT部門で働く人だけの資格」ではありません。さまざまな立場の方が、それぞれの目的で挑戦しています。
主な受験者層
代表的なのは、次のような方々です。
- 情報システム部門に配属された新入社員・若手社員 ― 業務に必要な基礎知識を体系的に身につけたい人
- 個人情報を扱う部署で働く社会人 ― 情報管理の基本を、自信を持って実践したい人
- 管理職やリーダー層 ― チームの情報セキュリティ意識を高める立場として知識を補いたい人
- 就職・転職活動を控えた学生や社会人 ― 「情報を扱う基礎ができている」ことを客観的に示したい人
共通する動機は「安心して情報を扱いたい」という思い
共通しているのは、「自分や組織の情報を、正しい知識をもって守りたい」という、誰もが持ちうる自然な動機です。専門家を目指すというより、日々の仕事を安心して進めるための土台として選ばれることが多いのも、この資格らしいところといえるでしょう。
こんな人におすすめ・こんな人にはやや物足りないかも
「自分に合っているかどうか」を考えるときの参考に、向き・不向きの傾向も挙げておきます。
- おすすめな人:ITの専門知識に自信がなくても、情報セキュリティの基本から学びたい人/職場で情報を安全に取り扱う立場にあり、知識を整理しておきたい人/比較的取り組みやすい資格から、情報処理系の学習をスタートしたい人
- やや物足りないかもしれない人:すでに情報セキュリティの実務経験が豊富で、より専門的・技術的な内容を学びたい人(この場合は情報処理安全確保支援士などの上位資格が選択肢になります)/プログラミングなど技術寄りのスキルを優先したい人
豆知識:「管理する側」のセキュリティ資格ができた理由
旧・情報セキュリティスペシャリスト試験との関係
情報セキュリティマネジメント試験が新設された2016年、同年に廃止されたのが「情報セキュリティスペシャリスト試験」です。廃止の理由は、スペシャリスト試験の内容が高度すぎて「セキュリティを管理する現場の一般担当者」には難しすぎたこと、そして新設された「情報処理安全確保支援士試験」がより高度な専門家資格として役割を引き継いだためです。一方で、現場の担当者向けに難易度を抑えた新試験として誕生したのが情報セキュリティマネジメント試験というわけです。いわば「セキュリティの現場を支える人材の裾野を広げる」という意図が、この試験の設計思想の根底にあります。
「マネジメント」と名のつく試験が問うのは、技術ではなく「判断力」
試験名に「マネジメント」とある通り、この試験が重視するのは「正しく判断し、組織を動かす力」です。たとえば科目Bでは、「メールの添付ファイルを誤って開いてしまった社員がいる。次に取るべき行動は何か?」といったシナリオ問題が出題されます。技術的に攻撃を防ぐ力ではなく、インシデントが発生したときに落ち着いて適切な行動を選択できるかどうかが問われます。これは日常業務に直結する実践的な能力であり、資格の取りやすさと実用性のバランスが高く評価されている理由のひとつです。
受験者に占める社会人の割合が非常に高い
IPAが公開している統計データによると、情報セキュリティマネジメント試験の受験者の多くは在職中のビジネスパーソンです。学生が多い基本情報技術者試験とは対照的に、職場でセキュリティ課題に直面している「実務者」が受験する色合いが濃い資格です。受験動機で多いのは「会社からの要請・奨励」「自身のスキルアップ」であり、取得後のキャリアチェンジよりも「現職での業務の質向上」を目的とした受験者が中心となっています。
まとめ ― 組織のセキュリティを守る「頼れる担当者」になるために
こんな方にとくにおすすめ
- 会社でセキュリティ担当に任命されたが、専門知識に自信がない方
- ITパスポート取得後の次のステップとして、実務的なセキュリティ知識を身につけたい方
- IT・情報系への転職・就職活動中で、セキュリティ分野での強みを示したい方
- 官公庁・医療・金融など、情報管理が厳格な組織で働く方
- 中小企業でセキュリティ対策を一人で推進しなければならない方
取得に向けた第一歩
まずはIPA公式サイトで公開されているサンプル問題や過去問を確認し、自分の現在の知識レベルを把握するところから始めましょう。市販のテキストでは「情報セキュリティマネジメント試験 合格教本」シリーズが定評あります。科目Aは繰り返し問題を解いて用語と概念を定着させ、科目Bはシナリオの読み方に慣れることが合格への近道です。CBT方式で通年受験できるため、学習の準備が整ったタイミングで受験日を設定できるのも大きなメリットです。上位資格として情報処理安全確保支援士試験やCISSPを視野に入れつつ、まずはこの試験でセキュリティの基礎を固めるのがおすすめです。
※ CISSP(Certified Information Systems Security Professional)とは、国際的に認知された情報セキュリティの上級資格です。取得には実務経験5年以上が必要で、グローバルなセキュリティ専門家の証明として高く評価されています。
