防災備蓄管理士とは?
概要・難易度・取得後の活かし方を解説
防災備蓄管理士の概要
「防災備蓄管理士」は、一般社団法人日本集合住宅安全協会が認定する民間資格で、マンションなどの集合住宅における防災備蓄に関する正しい知識を、管理組合や住民に伝え、適切に管理・運用できる人材を育成することを目的としています。災害発生時に「備蓄品はあるのに、どこに何があるか分からない」「賞味期限切れに気づかなかった」といった事態を防ぐための実践的な知識を学ぶ資格です。
※ 防災備蓄とは、地震や水害などの災害に備えて、食料・水・トイレ用品・救急用品などをあらかじめ準備し、災害時にすぐ使える状態で管理しておくことです。
試験内容と講習形式
防災備蓄管理士の認定は、約4時間の講習を受講したうえで、選択式30問程度の確認テストに取り組む形式で行われます。講習では、備蓄品の保管方法や数量の考え方、賞味期限・使用期限の管理方法、災害発生時の配布の進め方など、実務に直結する内容が扱われます。確認テストに合格すると、後日、認定証と認定カードが交付されます。
受験資格・対象者
受験資格に年齢や学歴などの制限はなく、誰でも申し込むことができます。主な対象者として想定されているのは、マンションの管理組合の理事や役員、管理会社の担当者ですが、自分の住むマンションの防災対策に関心のある一般の住民が学びの一環として受講することも可能です。
似た名称の「災害備蓄管理士」との違い
防災備蓄に関する資格には、似た名称の「災害備蓄管理士」というものもあります。こちらは一般社団法人防災安全協会が2019年に制度化したもので、企業や自治体など、より幅広い組織を対象とした備蓄管理の知識を扱う資格です。一方、防災備蓄管理士はマンション・集合住宅という具体的な現場に特化している点が大きな違いです。両者は名称が似ているため、受講を検討する際は対象となる組織・運営団体を確認しておくと安心です。
※ 災害備蓄管理士とは、一般社団法人防災安全協会が認定する資格で、企業のBCP(事業継続計画)や自治体の防災計画における備蓄管理の知識を扱う、より広い対象向けの資格です。
難易度・学習時間の目安
防災備蓄管理士は、約4時間の講習を受けたうえで選択式の確認テストに取り組む形式のため、防災に関する予備知識がない人でも、講習内容をしっかり聞いていれば十分に合格を目指せるレベルとされています。過去問が公開されていないため、講習当日の説明やテキストの内容を中心に復習しておくことが、確実な合格への近道になります。
取得後に活かせる仕事・関連する職種
マンション管理組合の理事・役員
マンションの管理組合では、共用部分の備蓄品を誰がどのように管理するかが曖昧になりがちです。防災備蓄管理士の知識は、理事会で備蓄計画を立てたり、住民向けに備蓄の現状を説明したりする際に役立ちます。
マンション管理会社の担当者
複数のマンションを担当する管理会社のフロント担当者にとって、防災備蓄に関する標準的な知識を持っていることは、管理組合への提案や、住民からの問い合わせへの対応において強みになります。
防災用品・備蓄食品関連事業者
防災用品や非常食を取り扱う企業の営業担当者にとっても、マンションという具体的な現場における備蓄の考え方を理解していることは、管理組合への商品提案を行う際の説得力につながります。
誕生の背景・歴史
マンション防災という固有の課題
戸建て住宅と異なり、マンションでは多くの世帯が同じ建物内で生活しているため、エレベーターの停止や断水時のトイレ対応など、集合住宅ならではの課題が発生します。また、共用部分の備蓄は管理組合が主体となって整備する必要がある一方で、誰が責任を持って管理するのかが不明確なまま放置されているケースも少なくありません。
一般社団法人日本集合住宅安全協会による制度化
こうした課題を受け、一般社団法人日本集合住宅安全協会は、マンションにおける防災備蓄の正しい知識を、管理組合や住民に分かりやすく伝えられる人材を増やすことを目的に、防災備蓄管理士の認定制度を設けました。短時間の講習で受講できる形式にすることで、忙しい管理組合の役員でも参加しやすい設計になっています。
どんな人が、どんな目的で取得しているのか
マンション管理組合の理事・役員
任期中に防災備蓄の見直しを担当することになった理事が、知識を整理するために受講するケースが多く見られます。資格取得をきっかけに、備蓄品リストの作成や保管場所の見直しを行う管理組合もあります。
マンション管理会社の担当者
担当する複数のマンションに対して、標準化された備蓄管理の考え方を提案できるようになりたいという管理会社の担当者も、研修の一環として取得しています。
防災意識の高い一般の住民
役員ではなくても、自分の住むマンションの防災対策に関心を持ち、知識を身につけたいという住民が、自己学習として受講するケースも増えています。
豆知識:家庭でできる防災備蓄のコツ
マンション防災の基本は「在宅避難」
マンションは戸建て住宅に比べて建物自体の耐震性が高い場合が多く、大きな損傷がなければ、避難所に移動せず自宅で過ごす「在宅避難」が基本になるとされています。そのため、避難所で配給を待つことを前提とした備蓄ではなく、エレベーターが止まり、断水・停電が数日続いた場合でも自宅で生活を維持できるだけの備蓄が必要になります。
※ 在宅避難とは、災害発生後も自宅にとどまって生活を続けることです。建物の安全が確認できる場合に選択され、マンション防災ではとくに重視される考え方です。
「ローリングストック」という備蓄の考え方
防災備蓄というと「非常食を買って棚にしまったまま」というイメージを持たれがちですが、近年は、普段の食材を少し多めに買い置きし、食べた分だけ買い足していく「ローリングストック」という方法が広く紹介されるようになっています。防災備蓄管理士の学習でも、こうした日常に取り入れやすい備蓄の工夫が扱われます。
※ ローリングストックとは、普段使う食品や日用品を多めに備蓄し、消費した分を買い足すことで、常に一定量の備蓄を保ちながら賞味期限切れを防ぐ方法のことです。
まとめ ― マンションの「もしも」をみんなで支える知識
こんな方にとくにおすすめ
- マンション管理組合の理事・役員を務めている方
- マンション管理会社で複数の物件を担当している方
- 防災用品・備蓄食品の販売や提案に携わっている方
取得に向けた第一歩
まずは一般社団法人日本集合住宅安全協会が実施する講習の開催スケジュールを確認し、約4時間の講習に参加することから始めてみましょう。学んだ内容は、自分の住むマンションの備蓄品をチェックする「最初の一歩」としてもすぐに活かすことができます。
