グリーフケアアドバイザーとは?
概要・難易度・取得後の活かし方を解説
グリーフケアアドバイザーの概要
「グリーフケアアドバイザー」は、一般社団法人日本グリーフケア協会が実施する認定講座を修了することで取得できる民間資格です。大切な人を亡くした遺族が抱える深い悲しみに寄り添い、適切な言葉かけや関わり方を学ぶことを目的としており、葬祭・医療・福祉などさまざまな分野で活用されています。
※ グリーフ(grief)とは、英語で「深い悲しみ」を意味する言葉で、「グリーフケア」は、大切な人との死別などによる悲嘆を抱える人に寄り添い、その気持ちに向き合うための知識や関わり方の総称です。
講座の内容と2級・1級・特級の構成
グリーフケアアドバイザーは、2級(初級)・1級(中級)・特級(上級)の3段階で構成されています。2級は1日間の座学中心の講座で、グリーフケアの基本的な考え方や遺族の心情、援助の際の注意点などを学びます。1級は2日間にわたり、複雑な悲嘆への対応やケアの実践方法をグループワーク形式で学習し、特級は3日間の講座を通じて、グリーフケアの講座やワークショップを開催できる水準の実践力・技能の習得を目指します。
受講資格・対象者
2級は18歳以上であれば誰でも申し込むことができ、特別な学歴や実務経験は必要ありません。1級は2級講座の修了認定を受けた人が対象となり、特級はさらに1級講座を修了したうえで協会からの推薦が必要となる、段階を踏んで挑戦していくタイプの資格です。
「資格試験」というより「講座修了型」の認定資格
グリーフケアアドバイザーは、ペーパーテストの得点で合否が決まる一般的な検定試験とは異なり、講座を受講し、講義内容の理解や演習・グループワークへの取り組み(1級以降はレポート等の評価も含む)を通じて認定される、講座修了型の資格です。知識のインプットだけでなく、実際のやり取りを想定した演習を重視している点が特徴です。
※ 悲嘆(ひたん)とは、大切な人を亡くしたときに生じる深い悲しみや喪失感のことです。グリーフケアの講座では、この悲嘆がどのように表れ、時間とともにどう変化していくのかを学びます。
難易度・学習時間の目安
2級は1日間の講座を受講すれば取得を目指せるため、知識ゼロからでも挑戦しやすいレベルです。1級は2日間、特級は3日間と講座が長くなり、扱う内容も複雑な悲嘆への対応やケアの実践技術へと深まっていきます。座学だけでなく、グループワークや演習に積極的に参加する姿勢が求められる点は、一般的な筆記試験中心の検定とは異なる難しさといえます。
取得後に活かせる仕事・関連する職種
葬儀・葬祭関連業務に携わるスタッフ
葬儀社のスタッフは、深い悲しみの中にあるご遺族と直接接する機会が多い職種です。グリーフケアアドバイザーで学ぶ知識は、ご遺族への声かけや式後のフォローなど、心情に配慮した対応に役立てることができます。
医療・福祉・カウンセリング分野の専門職
看護師や介護職、相談援助に携わる専門職にとっても、患者やその家族が経験する死別の悲しみへの理解は欠かせません。グリーフケアの知識を体系的に学ぶことで、専門職としての対応の幅を広げることができます。
終活関連サービスの担当者
終活相談やエンディングノートの作成支援などに携わる担当者にとっても、本人だけでなく遺される家族の心情に配慮した提案ができることは、サービスの満足度を高める要素になります。
※ 終活カウンセラーとは、人生の終わりに向けた準備(終活)に関する相談に対応するための知識を認定する資格で、グリーフケアアドバイザーと組み合わせて取得することで、本人の生前準備から遺族のケアまで幅広く対応できるようになります。
誕生の背景・歴史
「悲しみに寄り添う専門性」が求められるようになった背景
かつては、遺族の悲しみへの対応は、家族や地域コミュニティの中で自然に行われるものと考えられがちでした。しかし、核家族化や地域のつながりの希薄化が進む中で、身近に頼れる人が少なく、悲しみを一人で抱え込んでしまう人が増えていることが指摘されるようになりました。こうした背景から、専門的な知識をもって遺族に寄り添う「グリーフケア」という考え方が、医療・福祉・葬祭の現場で重視されるようになっています。
※ 海外では、グリーフケアは「グリーフサポート」とも呼ばれ、遺族同士が経験を分かち合う「分かち合いの会」のような形で実践されることもあります。日本国内でも、葬祭事業者や医療機関がこうした取り組みを行うケースが少しずつ増えています。
民間資格としての体系化
こうした流れの中で、一般社団法人日本グリーフケア協会は、グリーフケアに関する知識や関わり方を体系的に学べる講座として、グリーフケアアドバイザーの認定講座を整備しました。2級から特級までの段階を設けることで、初めて学ぶ人から、専門職として深く学びたい人まで、それぞれのレベルに応じた学習ができるようになっています。
どんな人が、どんな目的で取得しているのか
葬祭業で働く人
日々ご遺族と接する葬祭業のスタッフが、自分の対応に自信を持つための裏付けとして、また会社として遺族対応の質を高めるための研修の一環として取得するケースが多く見られます。
看護師・介護職などの医療福祉従事者
患者の看取りやその後のご家族への対応に携わる中で、専門的な知識を身につけたいという医療・福祉従事者も、勤務の合間を縫って受講しています。
自身の死別経験をきっかけに学びたい一般の人
自分自身が大切な人を亡くした経験から、同じような悲しみを抱える人の力になりたいと考え、2級講座から学び始める一般の受講者も少なくありません。
豆知識:グリーフケアという考え方の広がり
「悲しみを早く忘れさせる」ことが目的ではない
グリーフケアと聞くと、「悲しみを早く乗り越えさせるための方法」とイメージされることがあります。しかし実際には、悲しみを無理に終わらせようとするのではなく、その人なりのペースで悲しみと向き合っていく過程に寄り添うことが基本的な考え方とされています。「早く元気になってほしい」という励ましが、かえって遺族を追い詰めてしまうこともあるため、聞き役に徹する姿勢が重視されます。
特級が「協会の推薦制」である意味
グリーフケアアドバイザーの特級は、1級修了者の中から協会の推薦を受けた人だけが挑戦できる仕組みになっています。これは、悲しみのケアという繊細なテーマを扱う以上、知識量だけでなく、これまでの学びへの取り組み方や人柄も含めて見極める必要があるという、この資格ならではの考え方の表れといえます。
まとめ ― 大切な人を亡くした人にそっと寄り添うために
こんな方にとくにおすすめ
- 葬儀・葬祭関連の仕事でご遺族と接する機会が多い方
- 看護・介護・カウンセリングなど、死別に直面する人を支える仕事をしている方
- 自身の経験を活かして、同じ悲しみを抱える人の力になりたい方
取得に向けた第一歩
まずは18歳以上であれば誰でも申し込める2級講座から、グリーフケアの基本的な考え方を学んでみましょう。1日間の講座で得た知識は、職場でのご遺族対応はもちろん、身近な人が悲しみを抱えているときの接し方にも活かすことができます。
