ファシリテーション技能検定(FAJ認定等)とは?
概要・難易度・取得後の活かし方を解説
ファシリテーション技能検定(FAJ認定等)の概要
「ファシリテーション技能検定」とは、特定非営利活動法人日本ファシリテーション協会(FAJ)をはじめとする複数の団体が提供する、会議や対話の場を効果的に進行・調整する技術(ファシリテーション)に関する講座・認定制度の総称です。「ファシリテーション」という名称の単一の国家試験があるわけではなく、団体ごとに講座の内容や認定基準が異なる点が特徴です。
※ ファシリテーションとは、会議や話し合いの場で、参加者の意見を引き出し、整理し、合意形成へと導く進行技術のことです。司会進行とは異なり、議論の中身そのものに踏み込みすぎず、参加者が主体的に結論にたどり着けるよう支援する役割を担います。
試験の出題範囲と形式
最も知られているFAJでは、会議の事前準備から場づくり、意見の引き出し方、合意形成までのプロセスを1日で学ぶ「ファシリテーション基礎講座」を中心に、各種の実践講座やワークショップを提供しています。一方、企業研修系の団体では、講座修了後に筆記試験や小論文、ロールプレイによる実技試験を組み合わせて、級ごとに認定する形式をとっているところもあります。
※ ロールプレイとは、実際の会議や面談を想定した役割演技のことです。ファシリテーション関連の認定講座では、受講者同士で進行役と参加者の役割を交代しながら、実践的な進行スキルを練習します。
受験資格・対象者
多くの団体で、年齢・学歴などの受験資格は設けられていません。ただし、いきなり認定試験だけを受けるのではなく、所定の講座やワークショップを受講したうえで認定されるという、講座参加と認定が一体になった仕組みをとっている団体が多い点には注意が必要です。
「資格」というより「学びの場」としての性格
FAJでは、認定講座だけでなく、ファシリテーションの勉強会である「定例会」が全国の支部やサロンでワークショップ形式で開催されています。資格を取得して終わりではなく、実践と振り返りを継続的に行いながらスキルを磨いていく文化がある点が、他の多くの資格試験とは異なる特徴です。
難易度・学習時間の目安
基礎講座そのものは1日で完結するものが多く、知識のインプットだけであれば数時間〜1日程度で一通り学べます。しかし、ファシリテーションは「知っている」と「実際に使いこなせる」の間に大きな差が生まれやすいスキルです。基礎講座を受けたあとも、実際の会議やワークショップで経験を積み重ねることで、はじめて身についたといえるスキルといえます。
※ 合意形成とは、複数の参加者の意見が異なる中で、全員が納得できる、あるいは受け入れられる結論を作り上げていくプロセスのことです。ファシリテーションの中心的なゴールのひとつとされています。
取得後に活かせる仕事・関連する職種
企業の会議・プロジェクトの進行役
会議が長引く、結論が出ない、特定の人ばかり発言するといった課題は、多くの職場に共通する悩みです。ファシリテーションのスキルを身につけることで、限られた時間の中で参加者の意見を引き出し、結論につなげる進行ができるようになります。
研修講師・ワークショップ運営者
社内研修やワークショップを企画・運営する立場の人にとって、参加者同士の対話を活性化させる進行技術は欠かせません。一方的に話す講義型の研修よりも、参加者が考え、話し合う形式の研修が増える中で、ファシリテーションの需要は高まっています。
※ ワークショップとは、講師が一方的に話す講義形式とは異なり、参加者が実際に手や頭を動かしながら体験的に学ぶ形式の研修・勉強会のことです。ファシリテーターは、こうした場の進行と運営を担います。
地域づくり・市民参加型プロジェクトの担当者
自治体や地域団体が住民参加型のワークショップを開催する場面でも、立場の異なる参加者の意見を整理し、合意形成へと導くファシリテーターの存在が重要になります。FAJの会員には、こうした地域活動に関わる人も多く見られます。
誕生の背景・歴史
「会議の質」への問題意識の高まり
「とりあえず集まって話す」だけの会議が結論を生まないまま長時間に及んでしまうことは、多くの組織にとって長年の課題でした。こうした課題に対して、進行そのものを専門技術としてとらえ、体系的に学ぼうという動きの中で、ファシリテーションという考え方が日本でも広まっていきました。
2004年:NPO法人としての認証
日本ファシリテーション協会は2004年1月に内閣府からNPO法人としての認証を受け、ファシリテーションの普及を目的とした活動を本格化させました。以降、企業研修やまちづくりなど、さまざまな分野でファシリテーションという言葉が使われるようになっています。
どんな人が、どんな目的で取得しているのか
会議の進行役を任されることが多い管理職・リーダー
チームのミーティングや会議で進行役を務める機会が多い管理職やリーダーが、自己流の進行に限界を感じ、体系的な進行技術を学ぶために講座を受講するケースが多く見られます。
人事・研修担当者
社内研修やワークショップを企画する人事・研修担当者が、参加型の研修を設計・運営できるようになるために、ファシリテーションの基礎を学ぶこともあります。
独立してファシリテーターとして活動したい人
企業研修やワークショップの進行を専門に請け負うフリーランスのファシリテーターを目指す人にとって、認定講座での学びと、その後の定例会などでの実践経験は、専門性を高めるための土台になります。
豆知識:「答えを出す人」ではなく「答えが出る場をつくる人」
司会・リーダーとの違いがわかりにくい理由
ファシリテーションは、司会進行やリーダーシップと混同されやすい概念です。司会やリーダーは「自分の意見や進行方針」を持って場を引っ張ることが多いのに対し、ファシリテーターは中立的な立場で、参加者自身が考え、結論を導き出すプロセスを支援する役割に徹します。「自分が話す」より「他人に話してもらう」ことに重きを置く点が、最初は意外に感じられるポイントです。
「資格を取って終わり」にならない学び方
多くの資格は、合格すればその時点でスキルの証明になりますが、ファシリテーションの世界では「基礎講座を修了したばかりの状態」と「数十回の会議を進行してきた状態」とでは、実践力に大きな差があります。FAJのような団体が、認定講座だけでなく勉強会や実践コミュニティを継続的に提供しているのは、ファシリテーションが「資格」よりも「継続的に磨き続けるスキル」であるという考え方が根底にあるためといえます。
まとめ ― 「会議の質」を変える実践型スキル
こんな方にとくにおすすめ
- 会議の進行役を任されることが多い管理職・リーダーの方
- 参加型の研修・ワークショップを企画・運営したい人事・研修担当の方
- 地域づくりや市民活動で、立場の異なる人々の合意形成に関わりたい方
取得に向けた第一歩
まずはFAJなどが開催している1日完結型の基礎講座に参加し、ファシリテーションの基本的な考え方を体験してみることから始めましょう。講座で学んだ進行のコツを、自分が参加する身近な会議で少しずつ試してみることが、スキルを定着させる一番の近道になります。
