TESOLとは?
概要・難易度・取得後の活かし方を解説
TESOLの概要
TESOL(テソル)とは、Teaching English to Speakers of Other Languagesの略で、英語を母語としない人に英語を教えるための指導法・指導資格の総称です。「TESOL」という単一の試験があるわけではなく、世界中の大学や語学学校が独自にTESOLの名を冠した講座・資格を提供しているのが特徴です。
※ Teaching English to Speakers of Other Languagesとは、直訳すると「他言語を話す人々への英語教授」という意味です。英語ネイティブではない学習者を対象とした英語指導法全般を指す言葉として使われています。
試験の出題範囲と形式
TESOLの取得方法は大きく2つに分かれます。ひとつは大学の学士課程・大学院の修士課程などで体系的に学ぶ「学位型」、もうひとつは語学学校などが提供する1〜3ヶ月程度(150時間程度)の短期コースを修了する「修了認定証型」です。後者では、講座の最後に模擬授業などの実技課題と、指導法に関する筆記課題が課されるのが一般的です。
※ CELTAとは、ケンブリッジ大学が認定する代表的なTESOL系資格のひとつで、Certificate in English Language Teaching to Adultsの略です。世界的に評価が高く、英語教師としての就職時に重視されることがあります。
受験資格・対象者
受講資格は講座を提供する団体によって異なりますが、多くの短期コースでは年齢・学歴の制限はなく、一定以上の英語力があれば受講できます。一方、大学院のTESOL修士プログラムなどでは、学士以上の学位や、TOEIC・TOEFLなど英語力を示すスコアの提出が出願条件となる場合があります。
※ TOEFLとは、英語を母語としない人を対象とした、主に北米の大学・大学院への留学時に求められる英語力テストのことです。TESOLの大学院プログラムでは、出願時の英語力証明として利用されることがあります。
オンライン講座の広がり
近年は、40時間程度の入門コースから、海外大学のTESOL修士課程まで、オンラインで完結できる講座が増えています。働きながら、あるいは日本国内にいながら、海外の認定機関が発行するTESOL資格を取得できる選択肢が広がっている点も、この資格の特徴のひとつです。
難易度・学習時間の目安
短期の修了認定証型コースであれば、40〜150時間程度の学習で取得できるものが多くあります。一方で、大学院の修士課程に相当するTESOLプログラムでは、1.5〜2年程度の学習期間が必要になります。英語力そのものに加えて、文法や発音をどう説明するか、授業をどう組み立てるかといった「教え方」を学ぶ点が、英語力検定とは異なる難しさです。
※ DELTAとは、CELTAの上位資格にあたるDiploma in English Language Teaching to Adultsの略です。すでに英語講師として一定の経験を積んだ人が、より高度な指導力を証明するために取得することが多い資格です。
取得後に活かせる仕事・関連する職種
海外・国内の語学学校の英語講師
英語ネイティブではない学習者に英語を教える仕事では、TESOLの保有が応募条件になっていることが少なくありません。とくに海外の語学学校では、TESOLやCELTAが「教える資格があること」を示す事実上のパスポートのような役割を果たしています。
オンライン英会話講師
オンライン英会話サービスでは、ネイティブ・非ネイティブを問わず講師を採用していますが、TESOLを保有していることで、より専門性の高い指導者として紹介されたり、レッスン単価が優遇されたりするケースがあります。
国内の英語塾・英会話スクールの講師
日本国内の英語塾や英会話スクールでも、英語力だけでなく「どう教えるか」を体系的に学んだ証として、TESOLを評価する採用担当者がいます。児童英語教師資格(J-SHINE)などと組み合わせて、指導の幅を広げる人もいます。
誕生の背景・歴史
英語の国際化と「教え方」の専門分野化
英語が世界共通語としての役割を強めるにつれて、英語を母語としない人々に英語を教えるニーズが世界的に拡大しました。その中で、単に英語が話せることと、英語を体系的に教えられることは別の能力であるという考え方が広まり、「英語教授法」という専門分野が確立されていきました。
大学発の資格から多様な提供元へ
当初はケンブリッジ大学などの伝統的な大学が認定する資格が中心でしたが、その後、世界各地の語学学校やオンライン教育機関が、それぞれの基準でTESOL系の講座を提供するようになりました。結果として、「TESOL」という言葉のもとに、難易度や評価方法の異なる多種多様な講座・資格が存在する状況が生まれています。
どんな人が、どんな目的で取得しているのか
海外で英語講師として働きたい人
海外の語学学校で英語講師として働くことを目指し、現地での就労に必要な資格としてTESOLやCELTAを取得するケースが代表的です。留学とTESOL取得を組み合わせたプログラムも多く提供されています。
オンライン英会話講師として活動したい人
場所を問わず働けるオンライン英会話講師の仕事に関心を持つ人が、自分の指導力を客観的に示す手段として、比較的取り組みやすい短期のTESOLコースを選ぶケースもあります。
すでに英語講師として働いている人のスキルアップ
これまで経験や感覚に頼って教えてきた人が、自分の教え方を理論的に整理し直すために、CELTAやDELTAといった上位の資格に挑戦することもあります。指導の幅が広がったと感じる人も多いようです。
豆知識:「資格」というより「世界共通の教え方の物差し」
「TESOL」は資格名であり分野名でもある
多くの資格は「合格・不合格」がはっきりした単一の試験を指しますが、TESOLは少し事情が異なります。TESOLという言葉は、特定の資格名であると同時に、「英語教授法」という学問・実務分野そのものを指す言葉でもあります。そのため、TESOLについて調べると、大学院の学位プログラムから数週間のオンライン講座まで、レベルも形式もまったく異なる選択肢が出てくることになります。
「英語ができる」と「英語を教えられる」は別の能力
英語が得意な人ほど、「自分はネイティブのように話せないから教えるのは無理」と感じてしまうことがあります。しかし、TESOLが対象としているのは、英語を母語としない学習者の視点に立って、文法のつまずきポイントや発音の難しさを言語化し、わかりやすく伝える技術です。むしろ、自分自身が英語学習で苦労した経験を持つ人のほうが、教える際の説明に説得力を持たせやすいという面もあります。
まとめ ― 自分に合った「TESOL」を選ぶことが第一歩
こんな方にとくにおすすめ
- 海外や国内で英語講師として働きたい方
- オンライン英会話講師として専門性をアピールしたい方
- すでに英語を教えており、教え方を体系的に学び直したい方
取得に向けた第一歩
まずは「自分が将来どこで、誰に英語を教えたいのか」を考え、それに合ったTESOL講座のレベル(短期の修了認定証型か、大学院の学位型か)を絞り込むことから始めましょう。CELTAのように評価の厳しい資格は、英語講師としての経験を積んでから挑戦するという順序でも遅くはありません。
