不動産コンサルティング技能試験(公認 不動産コンサルティングマスター)について

筆記試験実務経験・学歴が必要
民間資格

不動産コンサルティング技能試験(公認 不動産コンサルティングマスター)とは?

概要・難易度・取得後の活かし方を解説

不動産コンサルティング技能試験の概要

不動産コンサルティング技能試験は、不動産の有効活用や資産運用、相続対策などについて、専門的な見地から助言・提案を行う「不動産コンサルティング」の能力を認定する試験です。公益財団法人不動産流通推進センターが実施する登録証明事業で、合格すると「公認 不動産コンサルティングマスター」として登録できます。

登録証明事業とは、国の定めた基準にもとづき、民間団体が試験や講習を通じて知識・技能を証明する制度のことです。公的な性格を持つ民間資格として位置づけられます。

受験資格:他の国家資格保有者が前提

この試験を受験できるのは、(1)宅地建物取引士の資格登録を受けて不動産業に従事している人、(2)不動産鑑定士の資格登録を受けて不動産鑑定業に従事している人、(3)一級建築士の資格登録を受けて建築設計業・工事監理業等に従事している人、のいずれかに該当する人に限られます。誰でも受けられる試験ではなく、不動産関連の国家資格と実務経験を持つ人のための、いわば「上位資格」という位置づけです。

試験の出題範囲と形式

試験は択一式50問と記述式問題で構成され、200点満点で合格基準が設定されます。出題範囲は、不動産の有効活用、不動産投資、賃貸住宅管理、不動産の証券化、相続対策など、不動産に関する幅広いコンサルティングテーマにおよびます。実務上の判断力を問う記述式問題が含まれる点が特徴です。

不動産の証券化とは、不動産から得られる収益を裏付けとして金融商品を組成し、投資家から資金を集める仕組みのことです。不動産コンサルティングの応用的なテーマのひとつです。

合格後の「公認 不動産コンサルティングマスター」登録

試験に合格しただけでは「公認 不動産コンサルティングマスター」を名乗ることはできず、不動産流通推進センターへの登録手続きを経てはじめて、この称号を使用できるようになります。さらに「相続対策専門士」など、特定分野に特化した上位の専門称号も用意されています。

不動産流通推進センターとは、不動産流通市場の整備や人材育成を目的として設立された公益財団法人です。不動産コンサルティング技能試験のほか、不動産取引に関するさまざまな調査・研究も行っています。

難易度・学習時間の目安

★★★★☆ 受験資格自体が他の国家資格保有者に限定される、上位資格

合格に必要な学習時間は、すでに宅地建物取引士・不動産鑑定士・一級建築士のいずれかとして実務経験を積んでいる人で、80〜120時間程度が目安とされています。出題範囲が広いため、過去問演習を通じて頻出テーマを把握し、記述式問題の答案構成に慣れておくことが対策のポイントになります。

合格率の目安:受験者数は1,300人程度で、合格率はおおむね40%台で推移しています。受験者の母集団がすでに不動産関連の国家資格を持つ実務者に限られていることを考えると、決して簡単な試験ではないことがうかがえます。

相続対策専門士とは、公認 不動産コンサルティングマスターの取得者がさらに挑戦できる、相続分野に特化した上位の専門称号のひとつです。

取得後に活かせる仕事・関連する職種

不動産会社の資産活用提案担当者

土地オーナーに対して、賃貸住宅の建築や駐車場経営、売却など複数の選択肢を比較しながら提案を行う部門にとって、コンサルティングの体系的な知識は提案の説得力を高める材料になります。

相続・税務に関わる専門家

相続対策として不動産の活用を検討するケースでは、税理士や弁護士と連携しながら、不動産の側面からアドバイスできる専門家が求められます。「相続対策専門士」のような上位資格と組み合わせることで、専門性をより明確に打ち出せます。

不動産鑑定士・建築士のキャリアの幅を広げる

不動産鑑定士や一級建築士にとって、評価や設計といった本来の専門領域に加えて、コンサルティングという付加価値の高い業務領域を持つことは、独立後の事業の幅を広げるうえでも有効です。

誕生の背景・歴史

「縦割り資格」を横断する専門家へのニーズ

宅地建物取引士は取引、不動産鑑定士は評価、建築士は設計というように、不動産関連の国家資格はそれぞれの専門領域に応じて分かれています。しかし、土地オーナーが抱える「この土地をどう活用すればよいか」といった悩みは、ひとつの専門領域だけでは解決できないことが多くあります。こうした横断的な相談に応えられる人材を育成するため、不動産コンサルティング技能試験が設けられました。

不動産流通推進センターによる登録証明事業として

不動産流通推進センターは、不動産流通市場の整備や人材育成を目的として設立された公益財団法人です。不動産コンサルティング技能試験は、この団体が実施する登録証明事業として位置づけられており、宅建士・鑑定士・建築士という既存の国家資格の上に、コンサルティング能力という新たな専門性を積み上げる仕組みになっています。

どんな人が、どんな目的で取得しているのか

賃貸経営の提案を強化したい不動産会社の社員

すでに宅地建物取引士として活動している営業担当者が、土地活用や賃貸経営の提案力を高める目的で取得するケースが多く見られます。資格手当の対象としている企業もあります。

独立を視野に入れる不動産鑑定士・建築士

独立開業を視野に入れる不動産鑑定士や建築士が、自身の専門領域に「コンサルティング」という看板を加えることで、相談の入口を広げる目的で取得することもあります。

相続対策の専門性を高めたい士業

不動産関連の国家資格を持つ人が、相続対策に関する専門性をさらに高めるために、上位の専門称号である「相続対策専門士」をあわせて取得を目指すケースもあります。

豆知識:「不動産業界のMBA」という呼び方

資格の上に積み上がる「ピラミッド型」の構造

不動産コンサルティング技能試験は、宅地建物取引士・不動産鑑定士・一級建築士という3つの国家資格のいずれかを土台として、その上に積み上がる「ピラミッドの頂点」のような構造をしています。不動産業界では、この資格を取得することを指して「不動産業界のMBA」と表現されることもあり、複数の専門領域を横断できる人材であることの証明として扱われています。

合格後にさらに専門分野へ進める「専門士」制度

公認 不動産コンサルティングマスターになったあとも、相続対策・不動産投資・住宅資産・事業承継といった分野ごとの「専門士」資格に挑戦できる仕組みが用意されています。ひとつの資格で終わらず、自分の得意分野をさらに深掘りしていけるキャリアパスが用意されている点は、この資格ならではの特徴です。

まとめ ― 不動産関連資格の「その先」を目指す人のための資格

こんな方にとくにおすすめ

  • 宅地建物取引士として、土地活用や賃貸経営の提案力を高めたい方
  • 不動産鑑定士・一級建築士として、コンサルティング業務に進出したい方
  • 相続対策など特定分野の専門性をさらに深めたい不動産関連の士業の方

取得に向けた第一歩

まずは自身が保有する宅地建物取引士・不動産鑑定士・一級建築士のいずれかの資格と、現在の業務内容が受験資格を満たしているかを不動産流通推進センターのWebサイトで確認しましょう。出題範囲が広いため、過去問を解きながら自分の得意・不得意な分野を把握し、記述式問題の答案練習に時間を割くことが合格への近道です。