賃貸不動産経営管理士とは?
概要・難易度・取得後の活かし方を解説
賃貸不動産経営管理士の概要
賃貸不動産経営管理士は、アパートやマンションなどの賃貸住宅の管理業務を適正に行うための専門知識を認定する国家資格です。賃貸住宅管理業者が事業所ごとに置かなければならない「業務管理者」の要件として位置づけられており、賃貸管理の現場で重要な役割を担っています。
※ 業務管理者とは、賃貸住宅管理業者が事業所ごとに配置しなければならない、管理業務を適正に行うための責任者のことです。賃貸不動産経営管理士の資格を持つ人などがこの役割を担います。
試験の出題範囲と形式
試験は50問のマークシート方式で、賃貸借契約の基礎知識、管理受託契約、建物管理の実務、家賃管理、トラブル対応、関連法令(賃貸住宅管理業法・借地借家法など)が出題されます。合格基準は50問中35問以上の正解とされ、所定の講習を修了している場合は5問が免除され、45問中30問以上の正解が基準となります。
※ 賃貸住宅管理業法とは、2020年に成立し2021年に全面施行された法律で、賃貸住宅の管理業務を行う事業者に登録や業務管理者の設置を義務付けるものです。賃貸不動産経営管理士の国家資格化も、この法律にもとづいています。
受験資格・対象者
年齢・学歴・国籍を問わず、誰でも受験できます。すでに賃貸管理の実務に携わっている人だけでなく、不動産業界への就職・転職を考えている学生や社会人が、業界知識の証明として取得を目指すケースも増えています。実務経験を問われない点は、宅地建物取引士など他の不動産系国家資格と共通する特徴です。
※ 借地借家法とは、建物の賃貸借契約における借主の権利を保護するための法律で、宅地建物取引士や賃貸不動産経営管理士の試験で共通して出題される重要分野のひとつです。
2021年の国家資格化という大きな転換点
賃貸不動産経営管理士は、もともと民間資格としてスタートしましたが、2021年の賃貸住宅管理業法の施行にともない、業務管理者の要件となる国家資格として位置づけられました。これにより、賃貸管理会社にとって資格保有者の確保が事実上必須となり、資格の重要性が一気に高まりました。
難易度・学習時間の目安
合格に必要な学習時間は、宅地建物取引士などの不動産関連知識がある人で50〜100時間程度、初学者の場合は100〜150時間程度が目安とされています。出題範囲には宅建士試験と重なる法律知識も多いため、宅建士とあわせて学習することで効率よく知識を積み上げられます。
取得後に活かせる仕事・関連する職種
賃貸管理会社の業務管理者
賃貸住宅管理業者として登録するには、事業所ごとに業務管理者を配置する必要があります。賃貸不動産経営管理士は、この業務管理者の要件を満たす資格として、賃貸管理会社で直接的に必要とされています。
不動産会社の賃貸仲介・管理部門
賃貸仲介を行う不動産会社でも、入居者対応や原状回復、家賃滞納時の対応など、管理業務の知識が求められる場面が多くあります。宅地建物取引士とあわせて取得することで、仲介から管理まで幅広く対応できる人材としての価値が高まります。
不動産オーナー・大家業を営む人
自身でアパートやマンションを所有して賃貸経営を行うオーナーにとっても、賃貸借契約や管理業務に関する正しい知識を持つことは、入居者トラブルの予防やスムーズな物件運営につながります。
誕生の背景・歴史
サブリース問題と管理業務の適正化
賃貸住宅をめぐっては、サブリース契約の説明不足によるオーナーとのトラブルなどが社会問題となっていました。こうした問題を背景に、賃貸住宅管理業務の適正化を図るための法整備が進められ、その中で賃貸不動産経営管理士の役割が明確化されました。
※ サブリースとは、不動産会社などがオーナーから物件を一括で借り上げ、入居者に転貸する契約方式のことです。家賃保証をめぐる説明不足が社会問題となり、サブリース新法による規制強化につながりました。
民間資格から国家資格へ
賃貸不動産経営管理士は2007年から民間資格として実施されてきましたが、2021年6月の賃貸住宅管理業法全面施行にあわせて国家資格として位置づけられました。試験を主催する団体は変わらず一般社団法人賃貸不動産経営管理士協議会ですが、資格の社会的な位置づけが大きく変わった点は特筆すべき出来事です。
どんな人が、どんな目的で取得しているのか
賃貸管理会社の社員
賃貸住宅管理業者として登録している会社では、業務管理者の確保が法律上の要件となっているため、社員に資格取得を推奨・支援しているケースが多く見られます。資格手当の対象になることもあります。
宅地建物取引士からのステップアップ
すでに宅地建物取引士を持っている人が、出題範囲の重なりを活かして賃貸不動産経営管理士にも挑戦するケースが増えています。「不動産の取引」と「賃貸の管理」の両方をカバーできる人材は、不動産会社にとって重宝される存在です。
副業・兼業として大家業を営む人
会社員をしながら副業として賃貸経営を行う人が、自分の物件を適切に管理するための知識を体系的に学ぶ目的で取得することもあります。管理会社に任せきりにせず、契約内容や法律上の責任を理解しておきたいというニーズに応える資格です。
豆知識:「不動産四冠資格」のひとつ
宅建・管理業務主任者・マンション管理士と並ぶ存在に
不動産業界には、宅地建物取引士・マンション管理士・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士という、合格率がいずれも20〜30%台で推移する代表的な国家資格があり、これらをまとめて「不動産四冠資格」と呼ぶことがあります。賃貸不動産経営管理士は、国家資格化によってこの4つの一角に名を連ねるようになった、比較的新しいメンバーです。
試験範囲が宅建士と重なる「お得感」
賃貸不動産経営管理士の試験範囲には、借地借家法など宅地建物取引士試験と共通する分野が含まれています。そのため、宅建士の学習で身につけた知識をそのまま活かせる部分が多く、片方の資格で学んだ内容がもう片方の合格にも近づく「一粒で二度おいしい」関係にあるといわれています。
まとめ ― 賃貸経営の「適正化」を支える資格
こんな方にとくにおすすめ
- 賃貸管理会社で働く方、業務管理者を目指す方
- 宅地建物取引士とあわせて不動産分野の知識を強化したい方
- 副業・兼業として賃貸経営に関わっている、または検討している方
取得に向けた第一歩
まずは賃貸住宅管理業法の基本的な仕組みと、賃貸借契約に関する用語を整理することから始めましょう。宅地建物取引士の学習経験がある人は、共通する分野から手をつけることで効率よく合格ラインに近づくことができます。
