ビジネス通訳検定(TOBIS)とは?
概要・難易度・取得後の働き方を解説
ビジネス通訳検定(TOBIS)の概要
ビジネス通訳検定(TOBIS)は、ビジネスシーンにおける通訳能力を測定する検定試験です。会議通訳の専門家が関わる団体によって運営されており、商談・会議・プレゼンテーションといった実際のビジネス場面に近い形式で、通訳としての実践力を評価します。
※ 会議通訳とは、国際会議やビジネス会議など、フォーマルな場で行われる通訳のことです。発言内容を正確かつ瞬時に訳す高度な技術が求められ、通訳の中でも専門性の高い分野とされています。
試験の出題範囲と形式
試験は筆記試験と通訳実技で構成されます。筆記では、ビジネス英語の語彙・表現に関する知識が問われ、実技では、ビジネスの会話やスピーチを聞いて、その場で日本語・英語に訳出する力が評価されます。級によって、扱うテーマの専門性や訳出のスピードに求められる水準が変わります。
※ 訳出とは、聞いた内容を別の言語に置き換えて口頭で伝えることを指す通訳業界の用語です。正確さだけでなく、聞き取りやすい話し方や間の取り方も評価の対象になります。
受験資格・対象者
年齢・学歴を問わず、誰でも受験できます。すでにビジネスの現場で英語を使っている社会人や、通訳・翻訳の仕事を目指す人が、自分の通訳スキルのレベルを客観的に確認するために受験することが多い試験です。
通訳技能検定との違い・ポジション
通訳技能検定(通検)が幅広い場面での通訳力を測るのに対し、ビジネス通訳検定(TOBIS)はその名のとおり「ビジネスの現場」に特化しています。出題されるテーマも、商談・会議・プレゼンテーションなど、企業活動に直結する内容が中心になっている点が特徴です。
難易度・学習時間の目安
学習時間の目安は、すでにある英語力をベースに、どれだけ通訳訓練を積んでいるかによって異なります。TOEIC900点前後の英語力がある人でも、通訳特有の「聞きながら訳す」訓練をしていなければ、実技試験で苦戦することがあります。ビジネスニュースや決算発表などの音声教材を使った訳出練習が効果的とされています。
※ 同時通訳とは、話し手の発言とほぼ同時に訳出を行う通訳方式のことです。逐次通訳よりもさらに高度な技術が必要とされ、国際会議などで活躍する通訳者の多くがこの技術を身につけています。
取得後に活かせる仕事・関連する職種
企業の海外事業部門での通訳サポート
海外拠点とのオンライン会議や、海外の取引先との商談で通訳サポートを行う役割は、企業の国際化が進むほどニーズが高まっています。TOBISの取得は、こうした場面で通用する通訳力の証明になります。
フリーランス・派遣のビジネス通訳者
展示会・商談会・セミナーなどでスポット的に通訳を依頼されるフリーランス通訳者にとって、TOBISは自身の専門分野(ビジネス)での実力を示す資格として活用できます。
会議通訳者へのキャリアパスの一歩
将来的に国際会議などで活躍する会議通訳者を目指す人にとって、TOBISはビジネス分野での基礎力を確認し、より専門的な通訳訓練に進むためのステップになります。
誕生の背景・歴史
ビジネス特化型の通訳検定として誕生
従来の通訳検定は、観光・日常会話・専門分野などを幅広くカバーするものが中心でしたが、ビジネスの現場で必要とされる通訳力に特化した試験へのニーズが高まったことを背景に、TOBISのような検定が整備されました。会議通訳の専門家が関わることで、実務に即した出題内容が実現されています。
※ 逐次通訳とは、話し手が一区切り話すごとに、間を置いて通訳者が訳出を行う方式のことです。同時通訳に比べて準備期間が短く、ビジネス会議など幅広い場面で用いられています。
企業のグローバル化と社内通訳ニーズ
海外との取引が当たり前になった企業が増える中、社内に通訳ができる人材を確保したいというニーズが高まっています。TOBISは、こうした企業のニーズと、通訳の仕事を目指す個人をつなぐ役割を担っています。
どんな人が、どんな目的で取得しているのか
会議通訳者を目指している人
通訳学校に通いながら、自分の現在の実力を客観的に把握するためにTOBISを受験する人がいます。専門学校のカリキュラムと並行して受験することで、学習の進捗を確認する指標になります。
商社・メーカーの海外営業担当者
海外との商談を担当する営業職が、自身の英語コミュニケーション力を「通訳レベル」で証明したいという目的で受験するケースもあります。
通訳の仕事へのキャリアチェンジを考えている人
これまで別の仕事をしてきたが、英語力を活かして通訳の仕事に転身したいと考える人にとって、TOBISは自分の現在地を知り、必要な訓練量を見積もるための材料になります。実技試験の結果から、自分の弱点が「語彙力」なのか「訳出のスピード」なのかが具体的に見えてくるため、その後の学習計画も立てやすくなります。
豆知識:ビジネス通訳のリアル
通訳者は「黒子」に徹するプロフェッショナル
優れた通訳者ほど、自分の存在を意識させずに、話し手と聞き手のコミュニケーションを自然につなぐといわれています。通訳者自身の意見や感情を交えず、発言の内容を正確に伝えることに徹する姿勢は、ビジネスの信頼関係を支える重要な要素です。交渉が白熱する場面でも、通訳者が冷静に言葉を訳し続けることで、双方が安心して対話を続けられるといわれています。
業界知識が訳出の質を左右する
同じ「ビジネス通訳」でも、IT・金融・製造業など分野ごとに専門用語や業界特有の言い回しが異なります。優秀な通訳者ほど、事前に取引先の業界について調べ、専門用語を予習してから現場に臨むといわれており、語学力以外の準備力も問われる仕事です。会議の前日に資料を読み込み、頻出する固有名詞や専門用語をリストアップしておくことが、当日の訳出の質を大きく左右します。
まとめ ― 「ビジネスの言葉」をつなぐ通訳力を磨く検定
こんな方にとくにおすすめ
- 会議通訳者を目指している方
- 商社・メーカーで海外営業を担当している方
- 通訳の仕事へのキャリアチェンジを考えている方
取得に向けた第一歩
まずはビジネスニュースや企業の決算発表など、実際のビジネス音声教材を使って、聞いた内容を日本語・英語で言い換える練習から始めましょう。「聞いてすぐに訳す」感覚を養うことが、TOBIS対策の土台になります。最初は短いニュースの一文を訳すところから始め、徐々に長いスピーチへと範囲を広げていくと、無理なく実力を伸ばしていくことができます。
