通訳技能検定(通検)とは?
概要・難易度・取得後の働き方を解説
通訳技能検定(通検)の概要
通訳技能検定(通称:通検)は、一般社団法人日本コミュニケーション技術センターが実施する検定試験です。英語を「聞いて理解する」「話して伝える」だけでなく、「日本語と英語を行き来しながら正確に伝える」という、通訳特有のスキルを測定する点が特徴です。
※ 通訳とは、話し手の発言をその場で別の言語に置き換えて伝える仕事のことです。翻訳が文書を対象にするのに対し、通訳は会話やスピーチなど「その場の音声」を対象とする点が異なります。
試験の出題範囲と形式
通検は1級から4級までの級に分かれており、リスニング、英作文、そして面接形式のスピーキング(通訳実技)を組み合わせた構成になっています。スピーキング試験では、実際に英語の発言を聞いて日本語に、あるいは日本語の発言を英語に置き換えて答える形式の問題が出題されます。
※ 逐次通訳とは、話し手が一区切り話すごとに、通訳者が訳出を行う方式のことです。通検の実技試験では、この逐次通訳に近い形式で出題されることが多くなっています。
受験資格・対象者
年齢・学歴を問わず、誰でも好きな級から受験できます。中級程度の英語力があれば3級・4級から挑戦でき、すでに英検準1級やTOEIC900点前後の実力がある人は、より上位の級を最初の目標にすることもできます。
通訳案内士との違い・ポジション
通訳案内士が「観光案内」という特定の業務を前提とした国家資格であるのに対し、通検はビジネスや日常会話を含む幅広い場面での通訳スキルを測る民間資格です。通訳という仕事への入り口として、まず通検で基礎的な実力を確認してから、専門分野の通訳を目指すという使い方もされています。
難易度・学習時間の目安
学習時間の目安は級によって異なりますが、3級・4級であれば英検2級程度の語彙・文法力に加えて、英語を聞きながら日本語に置き換える「シャドーイング」や「サイトトランスレーション」といった通訳訓練が効果的とされています。1級・2級になると、ニュースや専門的なスピーチを正確に訳す高い語彙力と瞬発力が求められます。
※ シャドーイングとは、聞こえてきた英語の音声を、わずかに遅れながら同じように声に出して追いかける学習方法のことです。リスニング力とスピーキング力を同時に鍛えられるため、通訳訓練の基礎として広く使われています。
取得後に活かせる仕事・関連する職種
企業内通訳・社内国際business対応
海外拠点とのオンライン会議や、外国人スタッフ・取引先とのやり取りで、社内通訳的な役割を担う場面が増えています。通検で培った「聞いてすぐに訳す」力は、こうした実務の場面でそのまま活かすことができます。
イベント・展示会での通訳サポート
国際展示会や商談会などでは、ブースでの簡単な通訳サポートを必要とする場面が多くあります。プロの会議通訳ほどの専門性は求められないものの、正確に内容を伝える力が必要とされ、通検取得者の活躍の場になっています。
翻訳者としてのキャリアへの足がかり
通訳と翻訳は異なるスキルですが、どちらも「2つの言語を正確に行き来する」という点で共通しています。通検で実力を確認したうえで、JTFほんやく検定など翻訳系の資格にステップアップする人もいます。
誕生の背景・歴史
通訳人材の育成を目的に創設
通検は、英語力はあっても「通訳」という独自のスキルを客観的に測る試験が少なかった状況を背景に、一般社団法人日本コミュニケーション技術センターによって創設されました。語学力だけでなく、訳出のスピードや正確さといった通訳ならではの要素を評価する試験として設計されています。
グローバル化に伴う「通訳ニーズの裾野拡大」
かつて通訳は専門の通訳者に依頼するものというイメージが強くありましたが、近年は一般の企業でも英語でのやり取りが日常的になり、「通訳までは雇わないが、社内に英語をうまく訳せる人がほしい」というニーズが増えています。通検は、そうした「身近な通訳人材」を測る検定として注目されるようになりました。
※ サイトトランスレーションとは、英文を見ながら、その場で日本語に訳して声に出す訓練方法のことです。通訳者の養成現場で広く使われており、通検の対策としても効果的とされています。
どんな人が、どんな目的で取得しているのか
英語力を「使える形」で証明したい人
TOEICや英検でスコア・級は持っているものの、「実際に英語を使って人と人をつなぐ力」を客観的に示したいという人に選ばれています。面接形式の実技試験があることが、実践力の証明につながります。
社内通訳・国際部門への異動を目指す会社員
社内で英語を使う機会が増えてきた人が、「通訳のような役割も担えるようになりたい」と考えて受験するケースがあります。資格取得が、国際部門への異動希望を伝える際のアピール材料になることもあります。
通訳・翻訳の仕事に興味がある学生・転職希望者
通訳や翻訳といった言語のプロフェッショナルの仕事に興味があるものの、いきなり専門スクールに通うのはハードルが高いと感じる人にとって、通検は「自分に向いているか」を確認する最初のステップになります。
豆知識:通訳という仕事のリアル
通訳者は「右から左に訳すだけ」ではない
通訳は単語をそのまま置き換える作業ではなく、話し手の意図やニュアンス、文化的な背景まで踏まえて言葉を選ぶ仕事です。同じ英文でも、ビジネスの場面とカジュアルな会話では訳し方が変わるため、通検の問題にも「文脈に応じた訳し方」を問うものが含まれています。
「聞き取れるのに訳せない」という壁
英語を聞いて内容を理解できても、それを瞬時に自然な日本語(またはその逆)に変換するのは別のスキルです。通検の受験者の多くが最初にぶつかるのがこの壁で、訓練を重ねることで徐々に「訳す回路」が鍛えられていくといわれています。
まとめ ― 「英語が使える」を一歩先へ証明する検定
こんな方にとくにおすすめ
- 英語力を「実践で使える力」として証明したい方
- 社内通訳・国際部門への異動を目指す方
- 通訳・翻訳の仕事への適性を確認したい方
取得に向けた第一歩
まずは自分の現在の英語力に近い級(3級・4級程度)から挑戦し、シャドーイングなどの通訳訓練を学習に取り入れてみましょう。「聞いて、訳して、伝える」という一連の流れに慣れることが、合格への近道になります。
