医師事務作業補助技能認定試験(ドクターズクラーク)について

CBT・オンライン試験実技試験あり誰でも受験可
民間資格

医師事務作業補助技能認定試験(ドクターズクラーク)とは?

概要・難易度・取得後の働き方を解説

医師事務作業補助技能認定試験(ドクターズクラーク)の概要

医師事務作業補助技能認定試験は、医師に代わって診療録(カルテ)や診断書、処方せんなどの医療文書を作成する「医師事務作業補助者」としての知識・技能を認定する民間資格です。合格者には「ドクターズクラーク(R)」の称号が与えられます。

医師事務作業補助者とは、医師の指示のもとで診断書の下書きや診療記録の代行入力などを行い、医師の事務負担を軽減する専門職のことです。

試験の出題範囲と形式

学科試験では、医療関連法規・医療保険制度・医学一般・薬学一般・診療録の知識・医師事務作業補助業務・病院管理といった幅広い分野が出題されます。実技試験では、実際の診療内容をもとに診断書や紹介状などの医療文書を作成する課題が出されます。

IBT方式とは、自宅などのパソコンからインターネット経由で受験する試験方式のことです。試験官がオンラインで受験者の様子を確認しながら進められます。

この試験はIBT方式(インターネット試験)で実施されており、土日を中心に毎月複数の候補日が用意されているため、自分の学習進度に合わせて受験日を選べるのが特徴です。会場まで出向く必要がなく、自宅のパソコンとカメラがあれば受験できます。

受験資格・対象者

受験資格に学歴や実務経験などの制限はなく、誰でも申し込むことができます。医療事務の経験者だけでなく、医療事務の学習をひととおり終えた初学者が、医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)などと合わせてステップアップとして受験するケースも多く見られます。

「医師事務作業補助者」というポジションの特徴

一般的な医療事務が窓口対応や会計、レセプト(診療報酬明細書)作成を中心に行うのに対し、医師事務作業補助者は医師の診療業務そのものをサポートする点が大きな違いです。診察室や医局で医師のすぐそばに席を構え、カルテの代行入力や文書作成業務を担うことが多く、医療事務の中でも医師との距離が近い専門職といえます。

難易度・学習時間の目安

★★☆☆☆ 医療事務の基礎を理解していれば挑戦しやすい資格

学習時間の目安は100〜200時間程度とされています。医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)などで医療保険制度やレセプトの基礎知識を身につけたうえで、診療録や医療文書の書式・記載ルールを重点的に学ぶと効率よく合格を目指せます。実技では実際の診断書のひな形に沿って文章をまとめる練習を繰り返すことが対策の中心になります。

レセプトとは、医療機関が健康保険組合などに提出する診療報酬の明細書のことです。医療事務の基礎知識として欠かせません。

合格率の目安:近年の合格率は50%台〜76%程度の間で推移しており、試験回によって変動があります。学科・実技とも7割程度の正答が合格の目安とされています。

取得後に活かせる仕事・関連する職種

医師事務作業補助者(ドクターズクラーク)

病院の診療科や医局に配属され、医師の診療記録の代行入力、診断書・紹介状などの文書作成、検査オーダーの代行入力といった業務を担います。医師がより診療に専念できる環境づくりを支える、病院経営上も重視されているポジションです。

医療事務スタッフ(窓口・受付業務との兼任)

中小規模のクリニックでは、窓口受付やレセプト業務と医師事務作業補助の業務を兼任するケースもあります。診療録の用語や記載ルールに詳しいスタッフとして、院内での信頼を得やすくなります。

医療秘書・診療情報管理の補助スタッフ

診断書や各種証明書の文書作成スキルは、医療秘書としての業務や、診療情報管理士のサポート業務にも活かせます。文書作成の正確さとスピードは、どの医療事務系職種でも評価されるスキルです。

タスクシフト・シェアとは、これまで医師が担っていた業務の一部を、看護師や事務職員など他の職種に分担する取り組みのことです。

誕生の背景・歴史

2008年度:診療報酬での評価がスタート

医師の事務負担の重さが「勤務医不足」の一因として社会問題化したことを受け、2008年度の診療報酬改定で「医師事務作業補助体制加算」が新設されました。病院が医師事務作業補助者を配置すると診療報酬上の加算が得られる仕組みができたことで、全国の病院でこの職種の採用が一気に広がりました。

2009年:認定試験の開始と現在への広がり

こうした流れを受けて、公益社団法人全日本病院協会と一般財団法人日本医療教育財団の共催により、2009年(平成21年)3月から医師事務作業補助技能認定試験が始まりました。近年は「医師の働き方改革」による時間外労働の規制強化もあり、医師の業務をサポートできる人材へのニーズはさらに高まっています。

どんな人が、どんな目的で取得しているのか

医療事務からのキャリアアップを目指す人

医療事務技能審査試験などの資格取得後、さらに専門性を高めるためにドクターズクラークに挑戦する人が多くいます。診療録の知識が深まることで、レセプト業務における記載内容のチェック精度も上がり、医療事務全体のスキルアップにつながります。

病院の人事担当者・院内研修の一環として取得する人

医師事務作業補助体制加算の算定要件を満たすため、病院が職員に研修受講と資格取得を促すケースもあります。資格取得を通じて、院内全体の文書作成業務の質を底上げする狙いがあります。

未経験から医療事務の専門職を目指す人

医療事務の通信講座などでは、メディカルクラークとドクターズクラークをセットで学習するコースも多く、未経験から医療現場で専門性の高いポジションを目指す入り口として選ばれています。

豆知識:医師の働き方改革と「タスクシフト」のものさし

「2024年問題」と医師事務作業補助者

2024年4月から医師の時間外労働に上限規制が適用される、いわゆる「医師の働き方改革2024年問題」が大きな話題になりました。医師でなくてもできる事務作業を他の職種に移す「タスクシフト・シェア」の代表例として、医師事務作業補助者の役割が改めて注目されています。資格そのものは2009年生まれですが、その存在意義は年を追うごとに大きくなっている、いま「旬」な資格のひとつです。

受験者数は年間3,000人規模

医師事務作業補助技能認定試験の受験者数は全国で年間およそ3,000人規模とされており、医療事務系の資格の中では決して規模の大きい試験ではありません。それでも病院からの採用ニーズが安定していることから、知る人ぞ知る「実用直結型」の資格として根強い人気を保っています。

まとめ ― 医師の「右腕」として働くための一歩

こんな方にとくにおすすめ

  • 医療事務の経験を活かしてキャリアアップしたい方
  • 診察室や医局など、医師に近い立場で働きたい方
  • 文書作成が得意で、その力を医療現場で活かしたい方

取得に向けた第一歩

まずは医療保険制度やレセプトの基礎を学べる医療事務系のテキストや講座で土台を作り、そのうえで診断書・紹介状といった医療文書の書式に特化した対策教材に取り組むのがおすすめです。IBT方式は会場へ移動する手間がないため、仕事や家事と両立しながら学習を進めたい方にも挑戦しやすい試験です。