介護職員初任者研修について

介護職員初任者研修とは?

概要・難易度・取得後の活かし方を解説

介護職員初任者研修の概要

介護職員初任者研修は、介護の仕事に就くために必要な基礎知識と技術をひと通り学べる入門研修です。資格試験のように「合格・不合格」で受験者をふるい落とすものではなく、決められたカリキュラムを修了することで取得できるのが大きな特徴です。介護業界で働き始める際の、いわば「最初の一歩」として位置づけられています。

研修のカリキュラムと修了評価

研修は合計130時間のカリキュラムで構成されており、「職務の理解」「介護における尊厳の保持・自立支援」「介護の基本」「介護・福祉サービスの理解と医療との連携」「介護におけるコミュニケーション技術」「老化の理解」「認知症の理解」「障害の理解」「こころとからだのしくみと生活支援技術」「振り返り」という10科目で学びます。最後に筆記試験形式の修了評価が行われますが、内容は研修内容の理解度を確認するためのもので、難易度の高い選抜試験ではありません。

医療的ケアとは、たんの吸引や経管栄養といった、医療行為に準じる介護のことです。介護職員初任者研修では基礎的な知識のみを学び、実際に行うには別途「喀痰吸引等研修」の修了が必要です。

受講資格・対象者

受講資格に年齢・学歴・実務経験などの制限はなく、誰でも受講を申し込むことができます。介護の仕事が初めての方はもちろん、すでに施設で働きながら資格取得を目指す方も多く受講しています。働きながら通える夜間・週末コースや、自宅学習中心の通信講座を併用したスクールも多く、ライフスタイルに合わせて選びやすい研修です。

「ホームヘルパー2級」との関係

介護の仕事に詳しい方の中には「ホームヘルパー2級」という名称を耳にしたことがある人もいるでしょう。介護職員初任者研修は、2013年度の制度改正によって、それまでのホームヘルパー2級にあたる研修を再編する形で新設されました。研修の目的やカリキュラムの内容は、ホームヘルパー2級とおおむね共通しています。

ホームヘルパー2級とは、2013年度より前に存在していた訪問介護員養成研修の資格区分のひとつで、現在の介護職員初任者研修にほぼ相当するものです。

難易度・学習時間の目安

★☆☆☆☆ 入門レベル。受講資格に制限がなく、未経験からでも安心して始められます。

研修時間は合計130時間で、通学・通信を組み合わせたスクールであれば、週1〜2回のペースで通って約1〜3ヶ月ほどで修了するのが一般的です。短期集中コースを選べば、1ヶ月以内での取得も可能です。介護の知識が全くない状態からスタートしても問題なく、各科目で基礎から順を追って学んでいくカリキュラムになっています。

修了率の目安:修了評価はカリキュラムの理解度を確認するためのテストで、不合格になった場合も多くのスクールで再試験や補講が用意されています。決められた時間数の講義・演習にきちんと参加していれば、修了率は非常に高い水準になっています。

取得後に活かせる仕事・関連する職種

訪問介護員(ホームヘルパー)

利用者の自宅を訪問し、食事・入浴・排せつなどの身体介護や、掃除・調理などの生活援助を行う仕事です。訪問介護の事業所で働くには、原則として介護職員初任者研修以上の資格が必要とされており、この研修を修了することで初めて訪問介護の現場に立てるようになります。

OJTとは、On the Job Trainingの略で、実際の現場で働きながら先輩職員の指導を受けて学んでいく研修方法のことです。介護現場では、初任者研修で学んだ基礎知識をもとに、OJTを通じて実践的な技術を身につけていきます。

施設介護スタッフ(デイサービス・特別養護老人ホームなど)

デイサービスや特別養護老人ホーム、グループホームといった介護施設でも、初任者研修修了者は多くの場面で活躍できます。施設では複数のスタッフでチームを組んで利用者のケアにあたることが多く、研修で学んだ介護の基本やコミュニケーション技術が、チームで働くうえでの土台になります。

介護タクシー乗務員・福祉有償運送の運転者

通院や外出が困難な高齢者・障がい者を車両で送迎する介護タクシーや福祉有償運送の分野でも、介護職員初任者研修の修了が運転者の要件のひとつとされていることがあります。運転技術に加えて、乗り降りの介助や移動中の見守りといった介護の知識が求められる仕事です。

誕生の背景・歴史

2013年度:訪問介護員養成研修からの再編

介護職員初任者研修は、2013年度の制度改正によって誕生しました。それまでの訪問介護員養成研修(1級・2級・3級)とホームヘルパー1級・2級・3級という複数の資格区分を整理・統合し、「介護職員初任者研修」と「介護職員実務者研修」という2つの研修に再編する形で新設されたものです。複雑だった資格体系をわかりやすく整理し、介護人材のキャリアパスを明確にすることが目的でした。

現在:介護資格のキャリアパスの入口として定着

制度開始から10年以上が経過し、介護職員初任者研修は介護業界に入るための「最初のステップ」として広く定着しています。多くの介護事業者が新人研修の一環として受講を支援しており、介護未経験者の採用とセットで紹介されることも珍しくありません。

実務者研修とは、介護職員初任者研修の上位に位置する研修です。介護福祉士の国家試験を受験するためのルートのひとつとして必要とされており、初任者研修からのステップアップ先としてよく案内されます。

どんな人が、どんな目的で取得しているのか

介護業界未経験から転職を目指す人

「人の役に立つ仕事がしたい」「手に職をつけたい」といった理由から、異業種から介護業界への転職を考える人にとって、初任者研修は最初の関門です。学歴や年齢を問わず受講できるため、未経験からのキャリアチェンジの第一歩として選ばれています。

子育てが落ち着いた主婦・主夫

子育てがひと段落し、社会復帰を考えるタイミングで初任者研修を受講するケースも多く見られます。介護の仕事は地域に密着した職場が多く、自宅近くで働き口を見つけやすいことや、勤務時間の融通が利きやすい職場が多いことも、選ばれている理由のひとつです。

上位資格へのステップとして取得する現役介護職員

すでに介護施設で無資格スタッフとして働いている人が、キャリアアップや給与アップを目的に取得するケースもあります。初任者研修を修了することで担当できる業務の幅が広がるほか、その先にある実務者研修・介護福祉士へとつながるキャリアパスの入り口にもなります。

豆知識:介護資格の入り口にまつわる話

受講料を自治体が補助してくれることがある

介護人材の不足を背景に、多くの自治体では介護職員初任者研修の受講料の一部、あるいは全額を補助する制度を設けています。条件を満たして対象の事業所に一定期間勤務することなどを条件に、自己負担なしで受講できるケースもあるとされています。お住まいの自治体や、求人情報に「資格取得支援あり」と記載がある事業者を確認してみると、思わぬ支援が見つかることがあります。

「初任者」という名前に込められた意味

「初任者」という言葉には、文字どおり「初めて任務に就く人」という意味が込められています。介護の世界では、この研修を修了した時点がゴールではなく、現場でのOJTや実務者研修を経て少しずつ専門性を高めていくことが前提とされています。「ここがスタートライン」という制度設計の考え方が、名称にもそのまま表れているといえるでしょう。

まとめ ― 介護のキャリアをはじめる第一歩

こんな方にとくにおすすめ

  • 介護の仕事に興味があるが、未経験で何から始めればよいか分からない方
  • 異業種から介護業界への転職を考えている方
  • 子育てなどが落ち着き、地域で長く働ける仕事を探している方
  • すでに介護現場で働いており、資格を取って業務の幅を広げたい方

取得に向けた第一歩

介護職員初任者研修は、各地の介護スクールやカルチャーセンターなどで随時開講されており、通学コース・通信併用コースなど自分の生活スタイルに合わせて選べます。まずはお住まいの地域で開講しているスクールの説明会や資料請求から始めてみるとよいでしょう。修了後は、訪問介護員として働きながら、上位資格である実務者研修、さらにその先の介護福祉士を目指していく道が開けています。