VBAエキスパートについて

実技試験あり誰でも受験可
民間資格

VBAエキスパートとは?

概要・難易度・Excel自動化スキルの証明方法を解説

VBAエキスパートの概要

VBAエキスパートは、Excel・AccessなどのMicrosoftオフィス製品に組み込まれたプログラミング言語「VBA(Visual Basic for Applications)」のスキルを認定する民間資格です。オデッセイコミュニケーションズが運営しており、MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)と同じ運営会社が提供するオフィス系スキル認定の上位資格に位置します。Excel業務を自動化・効率化するマクロ・VBAのスキルを体系的に証明できる数少ない資格として、事務職からエンジニアまで幅広い層に活用されています。

VBA(Visual Basic for Applications)とは、Microsoft Office製品に組み込まれたプログラミング言語です。Excelでの繰り返し作業の自動化、複雑な計算処理、他のOfficeアプリとの連携などをプログラムとして記述・実行できます。「マクロ」とも呼ばれます。

試験の種類とレベル構成

VBAエキスパートには主に「Excel VBA ベーシック」と「Excel VBA スタンダード」の2段階があります。ベーシックはVBAの基本構文・変数・条件分岐・繰り返し処理など入門的な内容で、Excelマクロに触れたことがある人なら比較的取り組みやすいレベルです。スタンダードはクラスモジュール・ユーザー定義型・外部ファイル操作・Win32 API呼び出しなど、より本格的なプログラミングの知識が問われます。「Excelのマクロが少し使える」程度ではスタンダード合格は難しく、しっかりとした学習が必要です。

クラスモジュールとは、VBAにおけるオブジェクト指向プログラミングの概念で、データ(プロパティ)と処理(メソッド)をまとめた「設計図(クラス)」を自分で定義する機能です。スタンダードレベルの試験ではこのような中〜上級の概念も問われます。

「独学VBAユーザー」の”脱・我流”資格としての価値

日本には業務でExcelのVBAを使っている人が数多くいますが、その多くは独学・我流で身につけたケースです。「動けばいい」という我流スクリプトは保守性・可読性に問題が生じやすく、VBAエキスパートの学習では「なぜそう書くのか」の理論を体系的に整理できます。独学VBAユーザーが「自分のスキルを客観的に証明したい」「コードの書き方を正しく学び直したい」という動機で受験するケースが多く、実務と学習の両立がしやすい資格です。

難易度・学習時間の目安

★★☆☆☆ やや易〜中級(ベーシック)/中級(スタンダード)

ベーシックは、プログラミング経験がない人でも学習時間50〜80時間程度で合格できるレベルです。Excelの基本操作がある人なら、専用テキストをひと通り読んで演習をこなせば十分対応できます。スタンダードはオブジェクト指向の概念も含むため、プログラミング経験ゼロの方は100〜150時間以上の準備が必要です。いずれの試験も試験会場のパソコンで実際にVBAを操作する「実技形式」のため、読んで暗記するだけでなく、実際に手を動かしてコードを書く練習が不可欠です。

プログラミング経験者や他の言語の知識がある方は学習コストを大幅に削減できます。Python等の経験があれば、VBAの構文を「別の表現に慣れる」感覚で学べるため、スタンダードでも50〜80時間程度で合格できるケースがあります。

合格率の目安:オデッセイコミュニケーションズは公式の合格率を公表していませんが、ベーシックで50〜70%程度とされています。スタンダードは合格率がやや低いとされています。

取得後に活かせる仕事・関連する職種

一般事務・経理・営業事務のスキルアップ

最も多いのが、日常業務でExcelを多用する事務職・経理職・営業事務がスキルアップのために取得するケースです。定型業務の自動化・集計レポートの自動生成・入力フォームの作成など、VBAが使えることで業務効率が劇的に向上します。特に「毎日1〜2時間かかっていた手作業が5分に短縮できた」といった具体的な成果に直結しやすく、資格取得が即座に職場での評価につながります。

業務効率化・DX推進担当

企業の業務効率化やデジタル化を担う部門で、ExcelVBAを使って社内ツールを作成・保守するポジションがあります。完全なシステム開発ではなく「部門内で使える簡易ツール」を素早く作る用途には、VBAは現在でも現役のツールです。Python・RPAなどの新しい自動化ツールへのキャリアの入口としても機能します。

RPA(Robotic Process Automation)とは、人が行っていた定型的なPC操作をソフトウェアロボットに代行させる自動化技術です。UiPath・WinActorなどが代表的なRPAツールで、VBAで行っていた業務自動化をより広範囲に適用できる技術として注目されています。

SIer・ITベンダーのサポート・導入支援担当

顧客企業のExcel・Access環境を使った業務システムの構築・保守を担うSIerやITベンダーのエンジニアにとって、VBAエキスパートは実務スキルの証明として役立ちます。特にAccessVBAを活用した中小規模のデータ管理システム開発では、専門家としての信頼性を示す資格として評価されます。

誕生の背景・歴史

2000年代:OfficeVBAの普及と「我流スキル」の課題

VBAエキスパートは2000年代に整備された資格です。ExcelVBAは1990年代後半から日本の職場に急速に普及しましたが、「独学で使えるようになった人が多い一方、体系的に学んだ人が少ない」という状況が生まれていました。MOSを運営するオデッセイコミュニケーションズが、Office系スキルのさらに上のレベルとして「VBAのプログラミングスキルを正式に認定する」仕組みを作りました。

Python・RPA時代でも消えないExcelVBAの需要

「PythonやRPAが普及したらVBAは不要になる」という声も聞かれますが、日本の中小企業・大企業の現場を見ると、依然としてExcelVBAによる業務自動化は現役で使われています。既存のVBAマクロの保守・改修ニーズは継続的に存在し、「レガシーなシステムをわかる人が減っている」という逆説的な需要増もあります。新しいツールへの移行期においても、VBAを理解できる人材の価値はしばらく続くとみられています。

どんな人が、どんな目的で取得しているのか

事務職から「IT系職種」へのキャリアチェンジを目指す人

一般事務・経理として働きながら、「システム開発や業務効率化の仕事がしたい」という人がVBAエキスパートを第一歩として取得するケースがあります。プログラミング未経験者でも業務で使うExcelを通じて学べるため、敷居が低くキャリアチェンジの足掛かりとして機能します。ベーシック取得後、Pythonや基本情報技術者試験へとステップアップするルートが定番化しています。

我流VBAユーザーが「スキルを体系化」したい時

長年Excelマクロを使ってきたものの「なんとなく動かしているだけ」と感じている人が、VBAエキスパートを通じてスキルの棚卸しと体系化を行うケースがあります。「これまでの我流コードのどこがダメだったかがわかった」という受験者の声は多く、資格取得を通じたスキルの質的な向上が見込めます。

履歴書・職務経歴書で実務スキルを証明したい人

転職活動において「ExcelのVBAが使えます」という自己申告よりも「VBAエキスパート(スタンダード)取得」という資格記載の方が採用担当者への訴求力が高まります。特にExcel中心の業務が多い企業・部署への転職では、MOSと組み合わせて取得することで「オフィス系ツールを本格的に使いこなせる人材」というプロフィールが作れます。

豆知識:ExcelVBAは「日本で最も使われているプログラミング言語」かもしれない

「VBAは古い」は本当か? 現場の実態

開発者向けの意識調査ではPython・JavaScript・Go等のモダンな言語が上位を占めますが、「実際に最も多くのビジネスパーソンが日々使っているプログラミング言語」という観点では、ExcelVBAが圧倒的な数を誇るという見方もあります。IT部門だけでなく、経理・人事・営業・総務など非IT職種の人々がVBAを書いている日本のビジネス環境は世界的にも独特で、「VBAエキスパートが証明するスキルはニッチに見えて非常に広い」という実態があります。

AccessVBAという隠れた需要

VBAエキスパートにはAccessVBA対応の試験もあります。Accessは「中小企業の基幹システム代わり」として現役で稼働しているケースが全国に多数あり、「Accessをわかる人が社内にいなくなった」という問題を抱える企業が増えています。AccessVBAのメンテナンスができる人材は市場で希少価値が高く、フリーランスとして高単価のリプレイス・改修案件を受注しているエンジニアも存在します。

まとめ ― 「使える」から「証明できる」Excelプログラミングへ

こんな方にとくにおすすめ

  • ExcelVBAを我流で使ってきたが、スキルを体系化・公式化したい人
  • 事務職からIT系職種へのキャリアチェンジの第一歩を踏み出したい人
  • 転職活動でExcel・VBAスキルを客観的に証明したい人
  • 業務効率化・DX推進担当として社内ツール開発のスキルを磨きたい人

取得に向けた第一歩

オデッセイコミュニケーションズが公式に出版している「VBAエキスパート公式テキスト」がメインの学習教材です。実際に手を動かしながら学べる構成になっており、テキストの演習問題を繰り返すことが合格への近道です。まずはExcel VBAベーシックから始め、合格後にスタンダードへと進むのが王道ルートです。次のステップとしては、MOSと組み合わせてオフィス系スキルを強化するか、PythonやRPAへと展開してより広い自動化・効率化スキルを身につけるのがおすすめです。