ITストラテジスト試験について

更新不要(永久資格)筆記試験誰でも受験可
国家資格

ITストラテジスト試験とは?

概要・難易度・経営とITをつなぐ最上位国家資格を解説

ITストラテジスト試験の概要

ITストラテジスト試験(ST)は、IPAが実施する情報処理技術者試験の高度区分に位置する国家資格です。経営戦略とIT戦略を統合し、企業のビジネス課題をIT活用で解決するための企画立案・推進を担う「ITストラテジスト」としての高い能力を認定します。情報処理技術者試験の中で最も経営・ビジネス視点が問われる資格です。

ストラテジスト(Strategist)とは「戦略家」を意味する英語です。ITストラテジストは単なる「システムを作る人」ではなく、「経営課題を理解してIT投資の方向性を決め、新規事業や業務改革をIT活用で実現していく人」を指します。CIO(最高情報責任者)や経営コンサルタントに近い立場でITを活用する専門家です。

試験の構成

年1回(春期)実施。午前I(共通)・午前II(ST専門知識)・午後I(記述式・事例分析)・午後II(論述式・戦略立案)の4部構成です。情報戦略・業務改革・IT投資管理・調達・プロジェクト評価・リスク管理などが出題範囲です。受験料は7,500円です。

「技術試験」ではなく「経営×IT試験」という特異な立ち位置

情報処理試験の高度区分の中で唯一、技術の深さよりも「経営・ビジネス戦略の視点」が問われる試験です。午後IIの論述では「経営課題を分析してIT戦略を立案・推進した経験」を2,000字以上で記述します。IT戦略の企画・コンサルタント・上位PMなどの実務経験がないと書く内容がなく、事実上「経営とITの両方に関わった経験者向け」の試験です。

IT投資管理とは、企業がITシステムへの投資をどれだけ行い、その投資がどれだけの効果をもたらしているかを評価・管理する仕組みのことです。「このシステムに3億円投資するか」「投資対効果(ROI)はどれくらいか」を経営陣が意思決定するための重要なプロセスです。

難易度・学習時間の目安

★★★★★ 最難関クラス ― 情報処理試験の中で最も経営・業務知識が問われる

高度区分の中でも「技術よりも経営・ビジネス視点」が問われる唯一の試験であるため、ITエンジニアにとっては苦手意識を持ちやすい分野です。IT戦略の企画・コンサルタント・上位PMなどの実務経験がないと書く内容がなく、事実上「経営とITの両方に関わった経験者向け」の試験です。

合格率の目安:毎年13〜17%程度で推移しており、高度区分の中でも特に難しい試験のひとつです。技術的な難しさよりも「経営視点での思考・論述力」が問われるため、ITエンジニアよりもコンサルタント・IT企画職の方が得意とする傾向があります。

取得後に活かせる仕事・関連する職種

CIO・IT戦略部門のリーダー

大企業・中堅企業のIT戦略部門・情報システム部門の責任者として、IT投資計画・DX推進・ベンダー管理などの意思決定を担うポジションに直結します。「ITストラテジスト保有者」は経営陣との対話ができる技術者として高く評価されます。

CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)とは、企業のIT戦略全体を統括する役員のことです。IT投資の意思決定・DX推進・情報セキュリティ方針などを経営陣の一員として担います。日本では「IT担当役員」と呼ばれることもあります。

ITコンサルタント・DX推進コンサルタント

顧客企業のビジネス変革をIT活用で実現するITコンサルタントは、ITストラテジスト試験で問われるスキルそのものを職業とする人です。大手コンサルティングファームや独立系コンサルタントとしてのキャリアに直結します。

プロジェクトマネージャー・プログラムマネージャー

大規模ITプロジェクトの全体を統括するPM・プログラムマネージャーとして、経営目標とITプロジェクトを結びつけるマネジメント力の証明になります。

誕生の背景・歴史

2001年:「システムアナリスト試験」として誕生

ITストラテジスト試験の前身は2001年に始まった「システムアナリスト試験」です。当時は企業のIT投資が急拡大しており、「IT投資の効果を経営的視点で評価・管理できる人材」の育成が国家的課題となっていました。「どれだけIT化すれば、どれだけビジネス価値が生まれるか」を判断できる人材の不足が深刻だったのです。

2009年以降:DX時代にさらに重要性が増す

2009年の情報処理技術者試験改革で「ITストラテジスト試験」として再設計され、「経営戦略とIT戦略の統合」という現代的な課題に対応した内容になりました。DX(デジタルトランスフォーメーション)が企業の経営課題として浮上した2010年代以降、この資格の重要性はさらに高まっています。

どんな人が、どんな目的で取得しているのか

IT企画・情報システム部門のマネージャー層

経営陣への提案力・IT投資判断力の証明として取得するケースが最多です。昇進・役員登用へのキャリアパスで評価される資格として、情報システム部門のリーダー層に人気があります。

ITコンサルタント・DX推進担当者

顧客企業へのIT戦略提案力を資格で裏付ける目的で取得するケースや、コンサルファームでの評価向上・独立への箔付けに活用するケースがあります。

高度区分の制覇を目指す技術者

情報処理試験を網羅的に取得したいエンジニアが、技術系の高度区分に加えて経営系の最難関としてチャレンジするケースもあります。

豆知識:高度区分で最も「技術を問わない」試験

合格者の職種が「技術者」より「企画・コンサル」が多い

情報処理技術者試験の高度区分はどれも難しいですが、ITストラテジストは特に異色の試験です。ネットワーク・データベース・エンベデッドなど他の高度区分は「技術の深さ」が問われますが、ITストラテジストは「技術の知識が少なくても経営センスと論述力があれば合格できる」試験です。

「ITの最難関=技術最難関」ではない

実際に合格者の中には、技術者よりも「IT企画担当者」「ITコンサルタント」「DX推進役員」といった職種の方が多いといわれています。「ITの最難関=技術最難関」というイメージと違い、ITストラテジストは「ITと経営を結ぶビジネス人材」の最難関です。このユニークな立ち位置が、この試験の最大の特徴です。

まとめ ― IT×経営のキャリアを目指す人が辿り着く頂点

こんな方にとくにおすすめ

  • IT部門のリーダー・管理職として経営陣への提案力を高めたい方
  • ITコンサルタントとして顧客への提案力を客観的に証明したい方
  • DX推進担当者として社内外での信頼性を高めたい方
  • 情報処理高度区分を複数制覇したい「試験コレクター」の方

取得に向けた第一歩

まず応用情報技術者試験の経営系分野(ストラテジ系)を重点的に学習し、日々の業務でIT戦略の企画・提案経験を積んでおくことが最重要準備です。午後IIの論述は「自分が経験したIT戦略立案プロジェクトのストーリー」を整理しておくことが合格への近道です。